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中小企業でSDGsの社内浸透を担当することになったときの心構え

SDGs

ある日突然、社内におけるSDGs推進役を任されたときに、多くの方は次のような思いを抱くのではないでしょうか。
「SDGsって、そもそも何?」
「イメージはつかめているけど、上手く説明はできない」
「ロゴやアイコンをよく見かけるけど、何から手を付ければよいかわからない」


この記事では、そんなあなたに処方箋となる最初の一歩をお伝えします。

実は、簡単なころから始められるSDGsですが、大前提として、トップ(経営者)がしっかりとSDGsのあり方を理解して、社内へ向けて積極的に発信していることが重要です。もし、そうでなければあなたが推進する前に、この記事を経営者に読んでもらいましょう。

その上で、あなたの役割は短期・中期・長期の戦略立て、社内の仲間を巻き込んで、進めていくことになります。会社の存在意義ともいえる「社会や顧客の問題解決」をさらに強化してくれるのが、SDGsへ取り組みです。

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SDGsとは

SDGsの正式名称は、「Sustainable Development Goals」。日本語に訳すと、「持続可能な開発目標」となります。

日本語でも、何だか難しいですよね?簡単にいえば、「これからもずっと、世界中の人々が安心して、暮らしていける社会をつくっていきましょう」ということです。

そんな大げさな、、、と思われるかもしれません。しかし発展途上国だけでなく、先進国でも実にさまざまな問題が解決されないまま、状況は悪化し続けています。このままでは日本でさえ、次の世代が普通に暮らせないことさえ、あり得るわけです。

SDGsにかかわる主な諸問題のイメージ図
出所:令和3年8月 外務省 国際協力局 地球規模課題総括課

【基本その①】SDGsにおける17の目標

これらの問題を解決していくために、国連の加盟国で話し合いをして、SDGsは2016年からスタートました。世界中の国や地域、企業などで取り組みが始まっています。

具体的には、世界が直面する課題を17の目標におきかえ、2030年を達成年度としています。
17の目標は、さらに「169のターゲット」⇒「232の指標」で細分化されています。17の目標だけで取り組み事項を決めることが難しい場合は、ターゲットを見ていくとイメージがつかみやすくなります。

以下は、ゴール4「質の高い教育をみんなに」のターゲットです。一つ一つの項目をみてみると「これならできそう」とか「日頃の業務とつながりそう」など、思い当たる箇所があるのではないでしょうか。

目標 4 . 「すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」の場合
(以下、ターゲット10項目)


4.1 2030 年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
4.2 2030 年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
4.3 2030 年までに、すべての人々が男女の区別なく、手頃な価格で質の高い技術教育、職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事 及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
4.5 2030 年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
4.6 2030 年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。
4.7 2030 年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
4.a 子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。
4.b 2020 年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。
4.c 2030 年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員養成のための国際協力などを通じて、資格を持つ教員の数を大幅に増加させる。

さらに指標まで見たい方は、外務省ホームページのグローバル指標へ

独立行政法人中小企業基盤整備機構経済産業省のホームページでは、中小企業のSDGs取り組み事例を紹介していますので、あわせてご覧ください。

なお、私が行っている出前授業の「金融教育」は目標④だけでなく、目標①③⑤⑧にも関わることができます。

【基本その②】社内の体制を整える

まず経営トップの旗振りと仲間の理解や協力なくしては、SDGsの推進すら持続は不可能になるでしょう。3つのステップをしっかり整えてからスタートさせることが望ましいです。

・第1段階⇒トップが社是、経営理念、ビジョンを示し、社内へ浸透させる。
・第2段階⇒従業員、取引先、地域社会に対して「何ができるか?」「どう実現させるか?」を具体的に戦略へ落とし込む。(短期、中期、長期計画にわけるとなおよい)
・第3段階⇒戦略に基づいて、現場が実行する。政策や消費者動向、競合の変化にも対応し、商品やサービスの強化を図る。
(出典:小売業の実践SDGs経営)

この記事を読んでいる方は、おそらく第2段階と第3段階で関わってくるでしょう。あなたの役割は、戦略の立案と実行です。

SDGsの始め方

事前の申請や届け出は、必要ありません。表明するだけで、すぐに活動スタートできます。お馴染みの「ロゴ」や「アイコン」を使って、社内外へどんどん取り組みをアピールしていきましょう。利用にあたっては、国連が定めるガイドラインを、必ずご確認ください。

業績向上につながるのか?

中小企業がこれからも発展し続けるためには、SDGsへの取り組みは不可欠です。

例えば、学校の授業では子どもたちが、SDGsはごく当たり前のこととして学習しています。つまり、SDGsに取り組まない企業への就職は、今後あり得ないという結論に行き着くことも十分にあるわけです。

では、具体的に業績向上につながる過程を解説します。
3つのステップの第2段階から、いよいよあなた(もしくはあなたとその仲間)の登場です。

ここでは、会社の時間軸を短期・中期・長期にわけて、具体的に「何を目指すか」「どう実現するか」「どういう状態になっているか」を計画します。具体的な数字目標を掲げ、地域や業界での置かれている状況を描いてみましょう。会社の業績だけでなく、従業員、取引先、地域社会についてそれぞれの局面を考えると、バランスの良い取り組みができるでしょう。

3つのステップの第3段階は、第2段階に基づいて、現場レベルで他社と差別化を図って、商品やサービスで勝負をする局面です。

自社の強みを生かして、政策や消費者動向、競合の変化にも対応していくことがポイントです。商品やサービスの強化をはかり、収益につなげることを理想とします。

収益につながれば、人への投資ができるようになり、企業はさらに成長します。企業が成長すれば、顧客・取引先・地域社会からの信頼度はアップします。他社との差別化になりますね。

実行の際は、社員の協力を仰ぐとともに、仲間がSDGsについて理解できるよう勉強会や交流会などを定期的に開くことも有効です。

なんちゃってSDGsに注意

環境汚染や働き方の改善、福祉活動を意識するあまり、小手先の取り組みにならないように気をつけましょう。ただやってますだけでは、時間と労力の無駄です。その取り組みが従業員、顧客、地域社会のためになり、会社の発展へつながることが重要です。

以下、なんちゃって取り組みになりがちな例をあげます。
・コピーで裏紙をつかう
・マイボトルを推進する
・地域の清掃活動を始める
・事務所内に募金箱を設ける
・新しい設備やシステムを導入してみる
・毎朝ラジオを体操する、階段をメインで使う
・家庭内で余る飲食料品を定期的に回収して、寄付する
・備品を購入する際は、リサイクル商品などエコなものを選ぶ

SDGsは、企業が顧客・取引先・地域社会とともに永続的に発展することを目指す戦略です。ボランティア活動とは異なります。上記にあげたような取り組みを行うなら、その意味を問い、結果だけでなく、効果までもしっかりと検証する必要があります。

外部への情報発信する

せっかくの取り組みを外部へ発信しないのは、もったいないです。発信することによって、顧客や取引先からの反応を感じ取り、声が集まれば、自分自身の気づきも多いでしょう。

外部への発信は、ホームページやSNS中心で問題ありませんが、メディアに取り上げてもらえるとさらに信憑性が増します。また他の企業や団体などと一緒に活動をすると、展開が早くなる可能性があります。人脈づくりやノウハウを得られる機会ともなります。いろいろ検討してみましょう。

SDGsへの取り組みは、新しい出会いや部門を越えた社内の交流が増えます。一緒に働く仲間がさらに、やりがいを感じてくれることに期待したいですね。また情報発信により、周囲の反応が変われば、社員の満足度があがり、生産性やサービスの向上にもつながりますね。

まとめ

簡単なころから始められるSDGsですが、大前提として、トップ(経営者)がしっかりと理解して社内に向けて積極的に発信していることが重要です。これが、3つのステップの第1段階でしたね。

第2段階では、会社の時間軸を短期・中期・長期で分けて、従業員、取引先、地域社会との関係性を数字で示し、置かれている状況を描きます。

最後に第3段階としては、自社の強みを生かして、政策や消費者動向、競合の変化にも対応しつつ、商品やサービスの強化をはかり、収益につなげるというサイクルになります。

短期的な収益化が見えづらいSDGsですが、会社が生き残るためには避けては通れない取り組みです。任されたあなたは幸運なことに、中小企業のSDGsスペシャリストとしてのキャリアを一歩踏み出しました。あなたのチャレンジを応援します。
(参考文献:小売業の実践SDGs経営)

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