つみたてNISAをやり始めて、いろいろ投資への興味がわいてきた。
物価が上がってきたので、もっと積極的に資産の運用したい。
そんなあなたのために今回は、債券投資についてお伝えします。じつは今年、債券投資をはじめるのに、いい時期かもしれません。
債券は、成長し続ける企業の株式のように右肩上がりが続く商品ではありません。しかし、ミドルリスク・ミドルリターンであり、特にアメリカの債券については、現在金利が高く推移しているため、債券の価格が低水準ゆえ、このタイミングで記事を書いてみることにしました。
わたしの言葉で言い換えると「精神的に穏やかな商品」です。
債券とは
債券は、国や地方自治体、民間企業が資金を調達する手段の一つです。債券には、民間企業が発行する「社債」国が発行する「国債」地方自治体が発行する「地方債」などがあります。
債券を発行するということは、投資家から発行体(民間企業、国、地方自治体など)がお金を借りることを意味します。お金を貸した(投資した)投資家へは、期間が満了したら元金が返済されます。また毎年決められた利率で毎年利子が受け取れます。
債券と株式の違い
投資家から「お金を借りる」ことが債券、に対して「お金を出資してもらう」ことが株式にあたります。株式を発行できるのは、民間企業(株式会社)に限られます。株式は借金ではないため、お金を借りた企業は利子を支払う必要も、元本を返済する義務もありません。
その代わりに株式を取得した投資家へは、業績に応じて毎年配当金(インカムゲイン)が支払われます。※配当金がない株式もあります。
また株式を保有している投資家は、投資先の企業が成長し、株価が値上がりしたときに売れば、売却益(キャピタルゲイン)を手にすることができます。
債券と株式の違いをはじめ、金融全般を基礎から学習したい方におすすめの一冊です。
債券投資をはじめる前に
一般の投資家が実際に債券投資をはじめるなら「発行体から直接買う方法」と「投資信託を買う方法」があります。直接買う場合には、民間企業が発行する社債と、国が発行する国債などがあります。
一般的に社債のほうが国債より、利率が高めに設定されています。その理由は、政府が発行する債券である国債が最もリスクが小さい、だからリターン(利率)も小さい、という考え方です。投資の原則は「ローリスクであれば、ローリターン」ですよね。この考え方は、日本でもアメリカでも同じです。
いっぽう投資信託を通じて債券を買う場合には、上場会社している投資信託であるETF(証券会社のみでの取り扱い)と、上場会社していない投資信託(銀行や郵便局でも購入できる)があります。
ETFは、上場しているので株式と同じようにリアルタイムで国内外の債券ファンドを買うことができます。指値注文もできます。また発行体から直接買う場合とは異なり、満期という概念がなく、無期限のものが多いです。発行体がデフォルトしたり、ファンドを精算したりしない限り、運用され続けます。債券ファンドはNISA対象外なので、注意してください。
(参考動画:ETFと投資信託の違いを教えてください│日本証券業協会 投資Q&A)
債券投資の具体例
債券へ投資できる商品はたくさんあります。そのなかで今回は2つの事例をお伝えします。
ソフトバンクグループの社債
ソフトバンクグループへ1口100万円から投資できる商品です。毎年2.84%(税引前)の利率が適用され、7年後には100万円が返ってきます。
7年間での受け取り利子総額は、100万円×2.84%(税引前)×7年=198,800円(税引前)となります。1年あたり、28,400円ですね。
バンガード社のETF
証券会社のみが取り扱う上場投資信託(ETF)です。債券ETFでは、組入商品の種類(国債、社債など)と、期間(短期、中期、長期)によって、価格や分配金利回りが異なります。一般的に期間が長くなるほど、利率が高くなります。ここではアメリカの長期国債で運用されている上場投資信託を紹介します。
上の図では、1株あたりの価格が63ドルとなっています。1ドル=130円なら、8,190円(130円×63ドル)で購入できます。利回りは、価格や市場金利の変動にともなって、記載されている分配金利回り(税引前)も変動しますので、参考値として捉えてください。
図の場合であれば、63ドル×2.48%(税引前)=1.56ドル(税引前)くらいが目安です。実際の分配金は、毎月支払われます。具体的な購入方法は、こちらの記事をご覧ください。
知っておきたい債券の大原則
ここが最も重要です。債券は、買ったときよりも金利が上がると、価格は下がります。逆に金利が下がると、価格が上がります。つまり、いつの時代も利率の高い債券のほうが投資家に人気があるという、需要と供給のバランスと同じ関係性です。
この仕組みはとても大事なポイントなので「金利と価格は逆の動きをする」と覚えておきましょう。
今、債券は買い?なのか
「金利と価格は逆の動きをする」ということは「これから金利が下がっていくだろう」と、予想するなら、今まさに債券を買うタイミングといえますよね。
現在アメリカの国債は比較的金利が高い水準にあります。下の図は過去5年における「アメリカ10年国債の利率」と「バンガード社のアメリカ中期国債ETEの価格」を比較したものです。
上のチャートがアメリカ10年国債の利率、下のチャートが中期国債ETFの価格の推移です。チャートの動きがほぼ逆ですよね。
為替レートの影響を理解する
最後にここまで読んでいただき、買ってみようと思ったら、為替レートの影響(為替リスク)もちゃんと抑えておきましょう。もう一度、こちらの図をご覧ください。
1株あたりの価格は63ドルとなっています。1ドル=130円なら、8,190円(130円×63ドル)で購入できます。購入後、毎月分配金を受け取りながら、値動きをみます。やがてアメリカの金利が低下し、ファンドの価格が80ドルまで値上がりした場合のシミュレーションをします。
売却時の為替レート100円の場合 →8,000円(100円×80ドル) 購入金額8,190円に対して▲190円 売却時の為替レート120円の場合 →9,600円(120円×80ドル) 購入金額8,190円に対して+1,410円 売却時の為替レート140円の場合 →11,200円(140円×80ドル) 購入金額8,190円に対して+3,010円
いかがでしょうか?為替レートの影響(為替リスク)の捉え方は、人さまざまでいいと思います。
どうしても為替レートによる損失(為替差損)を出したくない方は、売らずに持ち続けるか、いったん売る際に「ドルで受け取る」を選択すれば、値上がり益のみ享受できます。受け取ったドル通貨で、また別のドル商品へ投資をしましょう。
まとめ
債券とは、元本が保証され、毎年利子がもらえる商品です。発行体により、名称や利率水準が異なるということでしたね。また、発行体が募集する債券を直接買う方法と、債券で運用する投資信託を購入する方法があると、お伝えしました。投資信託を通じて債券へ投資する場合には、株式のように期間は無期限で、元本保証はありません。外国の債券は、為替リスクを踏まえて、購入しましょう。くれぐれも、投資は自己責任で。