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シリーズ① 高校家庭科の金融教育で使えるコンテンツ(働き方と収入編)

授業のヒント

大学受験に向けた時間割や技能実習などで、家庭科が十分な時間を確保できない学校もあるとききました。教科書のテーマは、家族や子どもとの関わり、衣食住、さらには金融教育まで、盛りだくさん。限られたコマ数で、すべてをやりきれないもどかしさを抱える先生方も多いのではないでしょうか。

この記事では「生徒たちの将来のために、お金についてちゃんと伝えたい!」と、金融教育に熱い思いをいだく、家庭科の教職員の皆さまに向けてまとめました。

FP1級のSDGs金融教育アドバイザーが、実教出版「Agenda家庭基礎」に掲載されている内容を独自に5つのテーマにわけて、お伝えします。この教科書における金融教育の本質は「生涯の見通し」と「社会とのつながり」を理解し、自立に備えることです。
シリーズ第1回のテーマは『働き方と収入』です。生徒の皆さんが興味をもって授業にのぞんでもらえるように、具体的な事例を活用しました。

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さまざまな働き方

こちらは働き方を4つにわけて、仕事をする場所と雇用形態についてまとめた図です。

会社員や公務員、非正規雇用などの「雇われる働き方」と、会社経営者などの起業家や自営業、フリーランスなどの「雇われない働き方」の2つにわけられます。どちらが良いか悪いか、ではなく、自分の考え方や生き方にあった働き方を選択し「ライフプランにあわせて、働き方を変えていける」ということを知っておくことがポイントです。

報酬体系の違い

続いて、それぞれの給与についても確認しましょう。

会社員や公務員、非正規雇用の場合は、労働時間がある程度決められているかわりに、仕事をした時間の給料が保証されています。いっぽう起業家や個人事業主は、比較的時間の調整ができるかわりに、業績や仕事の成果が100%収入に反映されます。

安定した給料をもらって、経験やスキルをじっくり身につけたい、活かしたい人もいれば、自分の得意なことを活かして、どれだけ稼げるかチャレンジしたい人もいるでしょう。人によって、働くことのとらえ方がいろいろあってよいと思います。

稼ぐお金の違い

それぞれの働き方は、どのくらい稼げるのでしょうか?
ほんの一例ですが、具体的な賃金を下図にまとめました。民間企業を代表して、起業家と正規雇用については、楽天グループの資料をもとに作成しました。その他の賃金は、各サイトからの平均値です。

もっとも高い報酬をみこめるのは、起業家です。日本を代表する起業家でもある楽天グループの三木谷会長兼社長は、年間1億7,000万円の報酬をもらっています。同じ楽天グループでも正規雇用の社員は平均年収774万円ですが、全国平均を大きく上回っています。

個人事業主については、あくまで平均値です。「自由業系フリーワーカー」とは、特定の勤務先に所属せず、各企業から仕事の依頼を受ける働き方などです。全国に308万人いるといわれています。例えばホームページや動画の編集など、自分が得意なことをいかします。「自営業系独立オーナー」は、全国に551万人いて、美容室やカフェなど、個人で営業するお店をイメージしていただくと、わかりやすいのではないでしょうか。

他にもスポーツ選手や芸能人も個人事業主に含まれ、何千万円、何億円と、たくさん稼いでいる人たちがいることも事実です。また最近では、政府が推奨しているため、会社員として働きながら、副業や兼業でフリーランス(フリーワーカー)の仕事をしている人が徐々に増えています。

海外との格差

最後に現在の日本の賃金水準を諸外国と比較してみましょう。
日本はGDPで、世界第3位の経済力がありながら、OECD加盟国のなかでは25番目です。上述した日本の平均年収が400〜500万円に対して、アメリカの平均賃金は世界第2位でおよそ900万円です。(1米ドル130円で試算)
アメリカに行けば、高収入が約束されているわけではありませんが、自分の実力に対する評価は、国によって異なるということを知っておきましょう。

まとめ

今回お伝えしたケースは、ごくほんの一例です。
仕事を選ぶ目的は、人それぞれで良いと思います。人生のライフステージによっても、働く目的は変わるでしょう。実教出版の「2022生活学Navi」には、「やりたい仕事を考えてみよう」のページでいくつかの職業が紹介されています。興味がある分野をぜひ調べてみましょう。

実践ワーク

・やりたい仕事を発表してみましょう。またその仕事は、誰の役に立っていますか?商品やサービスを提供する顧客だけでなく、生産者や仕入先、物流会社、エンドユーザー(消費者)などをイメージしてみましょう。

・興味のある業界で「雇われる働き方」「雇われない働き方」をそれぞれ調べてみよう。例えば、動画編集の仕事なら下図のようなイメージでしょうか。

【出典】
・楽天グループ会長兼社長の報酬総額(楽天グループ第25期有価証券報告書)
・楽天グループ2024年4月入社の月給(楽天グループ採用情報の募集要項)
・楽天グループの平均年収(楽天証券の会社四季報)
・国内平均年収(国税庁令和3年分民間給与実態統計調査)
・主な最低賃金(厚生労働省令和4年度地域別最低賃金改定状況)
・個人事業主の平均年間報酬額(【ランサーズ】フリーランス実態調査2021)
・アメリカの平均賃金(OECD(2022),Average wages)

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