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生徒が身近に感じてくれる!中学生向け消費者教育をお伝えします

授業のヒント

SNSやキャッシュレス決済などの普及により「人に合わなくても簡単にモノを買うことができる」「興味関心のある情報がダイレクトに伝わる」世の中になりました。
この記事では、日常の身近な出来事をもとに、消費者教育を学べるポイントを紹介します。「教科書の内容だけでは少し物足りなさを感じている」「どういうふうに関心を持たせようか迷っている」教職員の皆さまは、ぜひ副教科として活用してみてください。

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消費者教育の目的

まずはじめに、消費者教育の目的を再確認しましょう。教育全般においても同様ですが、その目的は自立に向けた「思考力」と「判断力」を養うことです。つまり、賢い消費者としての知識(=生きる力)を身につけていくことです。

さらに高校生、大学生、社会人とそれぞれの世代でも、消費者としてのリテラシーは、身を守るために問われ続けます。中学生は、世の中の変化(法改正やフィンテックなど)に合せて、生涯学習し続けるための土台をつくる時期となります。まずは現状を知り、防止策やトラブルが起こったときの解決策の手がかりを見つけていきましょう。

身近に感じる事例

独立行政法人国民生活センターの報告書によると、成年年齢引下げ後における18歳と19歳の消費者トラブル上位5件は、以下のようになっています。

突出して「脱毛エステ」が多く、男女問わず、若い世代の興味関心につけ込んだ悪質な業者が絶えないのが現実のようです。また、SNS関連などからは金銭被害の主な例として「出会い系サイト」や「商品売買」「副業」などがあげられます。全体の被害傾向として「キレイになりたい」「楽して稼ぎたい」という、若い人たちの欲求がターゲットになっています。

「SNS で知り合った相手から出会い系サイトに誘われ、やり取りをするために有料のポイントの購入を何度も求められた」という相談のほか、「異性の悩みを聞くだけで報酬がもらえるとのインターネット広告を見てサイトに登録したが、サービスの利用料金や、報酬を受け取るための手続き費用等の支払いを何度も求められた」という相談もみられます。

独立行政法人国民生活センター 成年年齢引下げ後の18歳と19歳の消費者トラブルの状況(2022年10月時点)

こんなときどうする?

消費者教育の原点は「被害に遭わないこと」「被害に遭ってしまったときの対処方法」の2つを学ぶことです。多くの中学生がもっている財布やスマホについて、以下の質問をしてみてください。

「財布」を落とした、もしくは盗まれたら、どうしますか?また被害を最小限におさえるためには、どのような事前対策が必要ですか?

(以下、回答例)
・警察に連絡する(紛失、もしくは盗難届けを出す)
・財布のなかには、必要以上にお金を入れない
・財布の中に何が入っていたかを覚えておく、もしくはメモしておく
・財布の中に入っていたカード類や身分証明書などの担当窓口へ連絡する

「スマホ」を落とした、もしくは盗まれたら、どうしますか?また被害を最小限におさえるためには、どのような事前対策が必要ですか?

(以下、回答例)
・警察に連絡する(紛失、もしくは盗難届けを出す)
・指紋認証や顔認証、パスワードなどのロックをかけておく
・定期的にデータのバックアップをしておく
・iPhoneを探すをオンしておく(Apple社の場合)
・他の端末から遠隔操作でスマホを使えないよう(初期化等)にする

上記以外にも、生徒の発表からは、いろいろな意見が出てくると思います。みんなで共有し、お互いの意見から気づきが得られれば、次のステップへ進みます。

最低限知らないと困ること

消費者トラブルの多くは「契約を取り消せないこと」「お金を返してもらないこと」で発覚します。「クーリング・オフ」「中途解約」を知っていると、トラブルを未然に防げることもあるでしょう。また一括りでキャッシュレス決済といっても、仕組みはさまざまです。上手なお金の使い方ができるようにに、電子マネーとクレジットカードの違いもしっかりと確認しておきます。

クーリング・オフ

特定の商取引(訪問販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供(エステティックや美容医療等)・業務提供誘引販売取引(内職商法やモニター商法等))に該当する契約には、書面またはメールやウェブサイトより、一定期間の間なら、無条件で取引を解除できる「クーリング・オフ」というルールがあります。

下記のサンプルでは「当書面を受け取ってから、8日以内であれば書面またはEメール、FAXにより契約を契約を解除することができる」と記載してあります。支払ったお金も返してもらえます。ただし、すでにサービスを受けたり、商品を使ったりすると、クーリング・オフができなくなります。

中途解約

クーリング・オフの期間が過ぎてしまった場合や、クーリング・オフの対象とならない契約でも、契約を解除することはできます。多少の違約金や解約手数料は免れませんが、ちゃんと事前に取り決めが公表されています。契約時に「中途解約」条項は必ず、確認しましょう。

エステティックサービスの場合、契約金額が「5万円を超え、かつサービスの提供期間が1ヶ月を超える」契約については、上記のような契約内容に関する概要書面を顧客へ明示する義務があります。トラブルを避けるためにも、情報収集から比較検討の段階で、急がず、慌てず、十分に時間を確保する必要がありそうですね。

電子マネーとクレジットカードの違いについては、下記の記事をご覧ください。

理解度を確認する

ここからは、身近な商取引で起こり得る事例について考えてみます。生徒さん向けに3つの質問を用意しました。状況に応じて、ぜひ使ってみてください。

推しのグッズを比較サイトで検索したところ、破格の値段で売りに出されていた。その商品を買ってよいか?

(ポイント)
・その比較サイトは、信用できるサイトか?
・比較サイトに出店している業者は信用できる会社か?

安い商品がすべて怪しいというわけではありませんが、ネット購入で気をつけるポイントは、「サイト運営者」と「出店企業」の信頼性です。例えば、楽天市場の場合、楽天グループがサイト運営者にあたり、楽天市場の検索でヒットしたビッグカメラが出店企業にあたります。

注文した商品と違うものが届いたり、不良品が届いたりした場合に、その後の対応をしてもらえないと困るので「サイト運営者」と「出店企業」は必ず確認しておきましょう。それでも不安な場合は、誰かに相談する、もしくは買うのをやめる、ことも重要です。

USJのチケットを事前に購入したが、当日体調不良となった。お金は返してもらえる?

(ポイント)
・原則、購入後のキャンセルはできません
・一部のチケットは「入場日」を変更できます
・法令上の解除または無効事由(大規模災害、公共交通機関のトラブル、USJの休園等)に該当すると、お金を返してもらます

チケット購入時に確認をしましょう。上記の内容は、USJのホームページでも公開されています。

Amazonから届いた商品が不良品だった…どうしますか?

(ポイント)
・カスタマーサービスへ問い合わせをする
・在庫状況や出店企業の意向により、交換・返金等対応は変わってくる

もし届いた商品に不具合があれば、下記のように検索すると、Amazonのカスタマーサービスにたどり着きます。基本的には、チャットやメールでのやり取りとなります。

よくある相談事例

実際に被害にあった方の相談事例も見てみましょう。

(コンサートチケット) 
SNSで知り合った相手にコンサートチケット代金を支払ったが、相手と連絡が取れなく なった。

アイドルグループのコンサートチケットを入手しようとSNSで検索をすると、他よりも低価格である2万5,000 円でチケットを譲るという相手を見つけた。「信頼できる相手と取引したい」と伝えたところ、「半額はコンサート終了後の支払いでよい。本人確認書類をお互いに提示しよう」 と提案された。その後相手から運転免許証の画像が届き、私は学生証の顔写真を隠した画像を送信した。その後、相手の指示で1万4,000 円の電子マネーギフトカードを購入して裏面の番号を教えたが、相手と連絡が取れなくなってしまった。(2022 年6月受付 10 歳代 女性 学生)

独立行政法人国民生活センター 成年年齢引下げ後の18歳と19歳の消費者トラブルの状況(2022年10月時点)

(内職・副業) 
無料でできるという副業を解約したが、解約料が発生すると言われた。


インターネットで副業を検索した。上位に表示された事業者のサイトには、「無料で情報を提供する」と記載されていたのでメッセージアプリで登録した。その後電話で各種プランの説明があった。初心者にも分かりやすいというプランを勧められ、代金8万円を指定された銀行口座に振り込んだ。さらに、サポートマニュアル代金約2万円も請求された。よく考えると、無料だと思っていたのに代金を請求され不審に思い、解約を申し出ると「解約料が発生する」と言われた。「稼げなかったらいつでも解約できる」と電話で言われたのに、納得できない。 (2022年4月受付 10歳代 男性 学生)

独立行政法人国民生活センター 成年年齢引下げ後の18歳と19歳の消費者トラブルの状況(2022年10月時点)

トラブルへの対応

被害に遭ってしまったとき、騙されたと感じたときには、躊躇せず、恥ずかしがらずに「消費者ホットライン」188や、各市町村の消費生活相談窓口に相談しましょう。一人で解決しようと、いろいろWeb検索をはじめてしまうと、解決までに時間を要したり、間違った方法を選んでしまったりすることがあります。早めの相談が被害を最小限に抑えるポイントです。

画像引用元:消費者庁ホームページ

18歳までに知っておきたいこと

契約とは

人と人の約束の一種です。身近な例では、物が欲しいから、サービスを受けたいから、お金と交換することがあげられます。つまり、普段の買い物です。書面がなくても契約は成立します。お金を支払わなかったり、お金を支払ったのにサービスを提供しなかったりすると、法律によって判断が下されます。

個人情報保護法

さまざまアプリでは、簡単に個人情報が取得されてしまいます。本当に必要かどうかを十分に検討したうえで、最低限の範囲内で活用しましょう。サイト閲覧時の履歴も、個人情報と紐づく仕組みになっています。個人情報保護法については、内閣府のホームページにわかりやすく解説したページがありましたので、下記にリンクを紹介します。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201703/1.html

リボ払い

クレジットカードで高額な商品を買うときに「分割払い」や「リボ払い」を活用することができます。分割払いは、支払い回数を決めるのに対して、リボ払いは、毎回の支払金額の上限を決めて利用する方法です。「リボ払い」は、一回あたりの金額が少ない分、支払いを終えるまでの期間が長くなり、金利手数料が多くなります。

与信情報(ブラックリスト)

クレジットカードの支払いや、ローンの返済が滞ると、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に滞納履歴が記録されます。いわゆるブラックリストに載ってしまうわけです。銀行やクレジットカード会社は、いつでも照会できるので一度滞納してしまうと、新規の住宅ローンやクレジットカード発行のときに、審査が通らなくなる可能性があります。

カスタマーハラスメント

顧客の理不尽なクレーム、言動はカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)といわれます。顧客が企業に対して行う、度を超えた要求、暴力的、屈辱的な苦痛を与える行為です。厚生労働省による職場のハラスメントに関する実態調査(令和2年度)によると、過去3年間に一度以上カスハラを経験した割合は、15%に及びます。お客なら何をやっても許されるというわけではなく、お互い社会のなかの人として尊重しあうことが大切です。

チップの文化

海外には、チップを渡す文化のある国があります。アメリカはその主な代表国です。レストランで食事をしたとき、タクシーに乗ったとき、ホテルで荷物を持ってもらったときなど、さまざまなシーンでサービス料として、少なくても1ドルから、多くて15%程度のお金を別途支払います。国やサービスによって、チップの有無、相場の金額が決まっています。知らないと失礼にあたるので、渡航の際には、事前に確認しておきましょう。

Amazonで買い物をはじめよう

多くの中学生は、欲しいコスメやファッションブランドがあっても、保護者のアカウントで買い物をしているのではないでしょうか?今後、自分で使えるための手順を確認しましょう。

まずは、アカウントを作成します。アカウント作成には、メールアドレスと任意のパスワード設定が必要になりますが、個人情報(氏名や生年月日、住所、電話番号など)が特定できる組み合わせは、使わないようにしましょう。また、途中で変更するのも面倒なので、10年後でも使っていたいアカウントにするとよいです。

支払い方法では、お小遣いやお年玉で、都度ギフトカードを買っておくこともよいですが、将来(18歳以上)はクレジットカードを登録すると便利です。Amazonカードなら、ポイント還元が多く、ギフト券のチャージでもポイントがゲットできます。年会費は、永年無料です。(ゴールドカード、プレミアムカードを除く)

またプライム会員(年会費5,900円)を選択すると、商品の送料が無料になり、映画や音楽、Kindle本を無料で楽しむこともできます。

まとめ

今回の記事では、10代に起こりがちな事例にはじまり、最低限知っておきたいルールや、お金・買い物の知識を紹介させていただきました。消費者教育の教材は、私たちの身近なところにたくさんヒントがあります。ちょっとした出来事や行為を題材にしてみることも視野に入れておきましょう。また政府や自治体などのサイトにもよい教材がありますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

カートくんの買い物★なびげ〜しょん -「消費者の権利と責任」の社会-

【参考資料】
・デジタル時代にだまされないための18歳からの「契約」超入門 著:遠藤研一郎
・東京くらしWEB 消費生活に関わる東京都の情報サイト
・あしたの暮らしをわかりやすく 政府広報オンライン
・中学生向け消費者教育教材「消費者センスを身につけよう」 消費者庁
・独立行政法人国民生活センターホームページ
・特定非営利活動法人日本エステティック機構ホームページ
・カスタマーハラスメント対策企業マニュアル 厚生労働省

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