望ましい進路指導へつなげる一手として、キャリア教育は重要な柱。将来の生き方や働き方をより具体的に考えることによって、学校で学ぶことや、将来働くことの意義に気付くことができれば、大きな一歩となります。
職場体験でぜひ訊いてほしいこと
「職場体験=キャリア教育」ではありません。職場体験はキャリア教育の一部分。体験先の経営者や従業員の方々が「なぜその仕事に携わっているのか?」、「これからどういうキャリアを考えているのか?もしくは、考えられるのか?」、「休みの日の過ごし方や生活水準はどうなっているのか?」など、積極的に聞いてみてください。自分の親以外の大人がどう生きているのか、知ることによって気づきは多いはず。職場体験において初対面で出会った人がどこまで教えてくれるかわかりません。でも、できるだけ聞き出しましょう。それも大事なスキル。
学習指導要領 改訂の背景は◯◯
学習指導要領は平成29年3月に改訂となり、平成33年より全面的に実施されます。
まずは、中学校社会の指導要領冒頭を紹介させていただきます。※不要な方は読み飛ばしてください
社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。
(1)我が国の国土と歴史,現代の政治,経済,国際関係等に関して理解するとともに,調査や諸資
料から様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。
(2)社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課題の解決に向けて選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議論したりする力を養う。
(3)社会的事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養うとともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の国土や歴史に対する愛情,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文化を尊重することの大切さについての自覚などを深める。
引用:中学校学習指導要領 第2章 第2節 社会
文部科学省の解説によると要するに、「生産人口の減少・グローバル化・技術革新によって社会構造と雇用環境の変化がますます激しくなってくるので、しっかり準備してくださいね。」ということ。何となく、教職員の方々も肌感覚として、すでに感じていらっしゃることでしょう。
しかし、ふだんの業務をこなしながら「グローバル化」と言われても何から手を付ければいいやら、、、多くの方は対応することに負担を感じるのでは?
先生および保護者自身が、知識やスキルをアップデートし、世の中の変化に早々気付くことも大事です。でも、出来ないことをできる人に任せることも大切です。子どもたちの学習機会はほんの数年と短い間。みすみすチャンスを奪ってしまうことになります。
「グローバル化」をテーマに授業を行うなら、オンラインを活用し諸外国で働く人たちと会話をする機会があるだけでも、ずいぶん違ってくるはず。子どもたちは大人の何気ない会話から、想像力を働かす天才です。先生方の同級生や先輩後輩、保護者の方の紹介やSNSで募る方法もあります。
新しい指導要領が求めるのは、これからの社会で「生きる力」を育むこと。これこそが今の日本にとってワンランク上げた質の高い教育。テストで高得点を目指したり、偏差値の高い学校へ進学することが国の教育の目的ではありません。
子どもたちに「生きる力」は備わっている
文部科学省は中学生に目指すべき資質と能力として、
- 変化に向き合い、他者と協働して課題解決できること
- 「情報の見極め」と「複雑な状況変化に対応すること」ができること
と明確化しています。
しかし、子どもたちには本来、何事にも対応できる能力があると考えます。「子どもってタフだなぁ〜」って思ったことありませんか?与えられた環境を疑うことなく一生懸命に取り組み、課題をどんどんこなしていきます。素直ですよね、大人と違って笑。
大人になると人生経験が邪魔をして、つい手を抜いたり、サボったり。子どもたちの能力を無駄にしないよう、キャリア教育でもどんどん新しく、よりリアルな情報をもとに学習&体験していくことができれば、生徒と教師の双方がより楽しめる授業を展開できます。
まとめ
一人ひとりが自らの個性や適性を知り、その特性を活かせる選択肢がどれだけあるかを早い段階から知っておくことは、将来の夢を実現するために有効です。身近な地域社会から地球規模に至るまで「活躍の場」は人それぞれ。
職種によって求められる技術的、職業的スキルは異なります。自分らしい働き方を生涯し続けるために、さまざまな雇用形態や起業について考えてみることも重要です。「キャリア教育」では、これら一連の流れを体験することによって、現在の学習意欲につながることも期待できます。またより人生設計に合わせた進路指導ができる可能性が広がります。