自治体にとって、国連が掲げる「SDGs」とは、、、。
スケールが大き過ぎる、と感じている人も多いのでは?
担当を任されたけど、なんだかしっくりこない方もいるのでは?
いっぽう北九州市は、経済協力開発機構(OECD)から、2018年度「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に、アジアで唯一選定されるなど、地域格差もうかがえます。
今回は、現在の状況をヒントに、一歩踏み出せるコツを金融教育の視点でまとめました。自治体のご担当者で困ったときに参考にしてください。
232の指標から自治体に沿ったものを選ぶ
17のゴール、169のターゲット、232の指標の中から、日本国内の主な課題をいくつかピックアップしました。
17のゴールだけを見て、イメージがわかりづらいかもしれません。そういう時は、169のターゲットや232の指標の中を眺めていくと、具体的な問題点を見つけやすくなります。
皆さんの自治体でも、2030年に向けて目標値を掲げ、達成に向けた取り組みを検討してみましょう。
ゴール①貧困をなくす
日本の貧困率(年間所得金額200万円以下)は15%、あなたの自治体は何%ですか?
まずは、所得金額の分布を把握してみましょう。
このような状況を踏まえ、
・思い描く仕事がどのくらい稼げるのか?
・望む暮らしを手に入れるためにはいくら必要か?
などを考えるきっかけつくりは、若いうちからがオススメ。
教育委員会主導で検討してみましょう。
金融教育の視点からは、さまざまな働き方と収入の関係は必須の項目です。
さらに、より自分らしく生きるためのキャリアについて、ワークショップ形式は有効。作業を通して、個々の気づきを得ることができます。
各自治体の取り組みとしては他にも、企業誘致や独立&開業支援なども所得増&貧困率改善につながる可能性があります。
ゴール③すべての人に健康と福祉
福祉の充実には、財政の健全化が不可欠。日本全体では、社会保障費が過去30年で40兆円増えました。そのほとんどが、公債金で賄われており、財政が悪化していることは周知の事実。
中長期的な取り組みが必要ですが、次世代への負担を改善していくことは、魅力ある街づくりの第一歩。政府からもさまざまなデータが公表されています。他の自治体との水準を比べてみましょう。
ゴール⑤ジェンダー平等を実現
日本は156カ国中120位。2025年に向けて、女性管理職の割合を30%にすることを目標としています。
しかし、世界の水準は、アメリカの40%をはじめ、既に30%を達成済みの先進国が多数あります。
「平等」を目指すなら50%、より高い目標を目指してみませんか?
現在取り組んでいる、女性が働きやすい街づくりや制度設計を、より具体的に数値化すれば活かすことができます。
ゴール⑧働きがい・経済成長
日本の一人あたりGDPは、23位の40,146米ドル。
トップは、ルクセンブルクの116,921米ドル。アメリカは、63,416米ドルの5位。(IMF「世界の一人あたり名目GDP国別ランキング2020」参照)
日本は、G7先進国のなかで6番目の水準です。国内では、東京一極集中の状態が続いています。
現状の県民所得などを参考に目標値を掲げてみましょう。一人ひとりの成果が地域の発展となり、日本の成長につながります。
肝は、「就労人口」と「生産性」
「就労人口が減っていること」、「一人あたりの生産性が低いこと」。
この2つは、根本的な課題です。高齢化社会がますます進み、働く人の割合が少なくなり、社会保障制度の存続が危機的状況にあります。
このままでは、社会福祉を削っていくか、国民の税負担を増やすか、の二択。どちらにしても私たちの暮らしに大きな影響を及ぼし、他の国や地域に人口の流出要因にもなりかねません。
生産性については、働いた分だけ、稼げる時代は終わりました。モノを大量に作れば、売れていく社会は、過去のはなし。
「楽して儲けよう」とまでは言いませんが、急速な少子高齢化を迎えている日本だからこそ、とても大事なポイント。世界から遅れをとっている、技術革新やグローバル化の波に乗っていくことが重要です。
リモートワークの普及が最後のチャンス
SDGsに取り組むことは、各自治体が自立して、存続し続ける絶好の機会。
どうすれば、
・住む人が増えるか、、、。
・子どもをたくさん産んでもらえるか、、、。
・魅力ある街づくりとは、、、、。
・企業や働く世代を増やすには、、、。
これらのことについて考えて、実践していくことを優先しましょう。
リモートワークが進み、場所にとらわれない働き方の流れは、ビッグチャンス。
仕事や収入に関する不安がないこと、医療体制や子どもたちの教育なども抑えておきたいポイント。「仕事やお金に困らず、快適に過ごせますよ」というようなコンセプトをイメージしてみてください。
企業誘致などは、今後も有効と思われます。街で暮らす人が増え、活性化により、財政面でも効果が見込めます。予算を組んでライフラインの整備を継続できれば、安心で快適な暮らしの確保につながります。
「金融教育」は種まき活動
今回掲げた課題は、すべて「金融教育」にもつながります。
17のゴールの中でもゴール④「質の高い教育」は、取り組み事例が多い項目。「金融教育」は、子どもたち&生徒たち一人ひとりが、社会で活躍できるための種まき活動。
やがて、それぞれの思いや特性を磨き上げて、実をつけ、花を咲かせてくれることを願っています。
ゴール⑤や⑧は、新たにチャレンジしたいと考える自治体も多いようです。
難しく考えることなく、それぞれ現在の指標を把握することから、各項目の取り組みは始められます。現状を数値化できれば、あとは2030年の目標値を決めるだけ。
その後、計画を実行するには、自治体の各部署が横断的に関わっていくこと。地域住民の声を共有し、理解と協力を得ていくことも重要です。専門家やファシリテーターなど外部の人と一緒に進めていくことも検討してみましょう。。
まずは、日本の現状を知ること。世界の水準を把握すること。
その上で、各自治体とのギャップを抑える。
「出前授業」に参加していただくと、これらの点を抑えたうえで「キャリア教育」まで発展させることができます。
各自治体の状況やニーズに合わせて対応も可能ですので、教育委員会などからもお気軽にお問い合わせくださいね。
政府の大きな枠組みとともに、各自治体が独自でSDGsをうまく活用することが、持続可能な地域創生に向けての希望となります。