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こどもNISA、本当に教育資金に使って大丈夫?|教育資金を「投資」で準備するということ

お金のはなし

2027年1月から、0歳から17歳までの子どももNISAの「つみたて投資枠」を利用できるようになります。

いわゆる「こどもNISA」です。

年間投資枠は60万円、非課税で保有できる上限は600万円。子どもが小さいうちから長期的な資産形成を始められる制度として、これから注目されるでしょう。金融庁も、大学進学など成人後のライフイベントに必要となる資金を準備するニーズを想定しています。

「せっかく税金がかからないなら、教育資金をこどもNISAで準備してみよう」

そう考える家庭も増えるかもしれません。

私自身、子どものうちから将来に向けて資産形成を始められることには大きな意味があると思っています。

ただ、金融教育に関わる立場から、制度のメリットよりも先に考えてほしいことがあります。

それは、

こどもNISAは「貯金」ではなく「投資」である

ということです。

そして教育資金には、老後資金とは大きく異なる特徴があります。

「この時期までにお金が必要」という締切があることです。

今回は、おすすめの商品を紹介するのではなく、「教育資金を投資で準備するとはどういうことなのか」を考えてみたいと思います。

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まず知っておきたい「投資信託」とは?

こどもNISAで利用するのは「つみたて投資枠」です。

対象になるのは、金融庁の基準を満たした長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託などです。

投資信託とは、簡単にいえば、

多くの人から集めたお金をまとめて、株式や債券などさまざまな資産に投資する金融商品

です。

例えば世界中の株式に投資するタイプなら、日本だけでなく、アメリカやヨーロッパなど数多くの企業に少しずつ投資できます。

一つの会社だけに投資するより分散しやすく、長期的な資産形成との相性がよい商品です。

一方、ここで一つ誤解しないでほしいことがあります。

分散しているから、値下がりしないわけではありません。

世界中の株式に投資していても、世界的な株安になれば投資信託の価格は大きく下がる可能性があります。

「こどもNISA=株式100%」でもない

もう一つ知っておきたいのが、こどもNISAの対象の投資信託運用先は株式だけではないことです。

2027年からは、つみたて投資枠の商品についても制度が見直され、債券を中心とする投資信託や、株式・債券など複数の資産を組み合わせたバランス型投資信託の選択肢が広がります。

金融庁も、株式と公社債を合わせて一定割合以上保有する投資信託を対象に加え、債券中心の商品を充実させる方針を示しています。

つまり、

「こどもNISAを始める=世界株式や米国株式に100%投資する」

ということではありません。

何年後に使うお金なのか、どの程度の値動きまで受け入れられるのかによって、株式中心なのか、債券も組み合わせるのかを考える余地があります。

ただし、債券だから元本保証というわけでもありません。

市場で売買される債券や債券型の投資信託にも価格変動があります。

大事なのは、「一番増えそうな商品」を探すことではなく、目的に合ったリスクを選ぶことです。

NISAでも「手数料」はかかる

もう一つ、初心者の方にぜひ知ってほしいのがコストです。

「NISAは税金がかからないから、費用もかからない」

というわけではありません。

投資信託には、運用してもらうための信託報酬(運用管理費用)があります。

これは請求書が届いて別途支払うのではなく、投資信託を保有している間、信託財産の中から日々差し引かれています。

金額としては小さく見えても、10年、15年と積み立てるのであれば無視できません。

金融庁の2026年9月時点の資料では、つみたて投資枠の指定インデックス投信の平均信託報酬率は、国内型で年0.27%、内外・海外型で年0.34%(いずれも税抜き)となっています。

同じような運用を目指す投資信託が複数あるなら、

「何に投資しているか」だけでなく「毎年どのくらいコストがかかるか」

を見る習慣も大切な金融教育だと思います。

NISAは「損をしない制度」ではない

そもそもNISAは金融商品の名前ではありません。

投資で利益が出た場合に、その利益を非課税にする制度です。

税金が優遇されるのは大きなメリットですが、投資したお金が減らないようにしてくれる制度ではありません。

100万円が120万円になれば、利益に対する税負担を抑えることができます。

一方、100万円が80万円になることもあります。

つまり、

NISAは税金を優遇する制度であって、元本を保証する制度ではない。

ここは、こどもNISAを始める前に親子で理解しておきたいところです。

教育資金には「締切」がある

では、なぜ教育資金では特に価格変動に注意する必要があるのでしょうか。

最大の理由は、

使う時期をずらしにくいからです。

大学進学を例にすると、高校3年生には受験料がかかり、合格すれば入学金、春には授業料が必要になります。

一人暮らしなら、引っ越し代や家賃、家具・家電などの費用も必要になるでしょう。

そのときに、

「今年は株価が下がっているから、大学入学を2年間延期しよう」

とはなかなかできません。

教育資金には、

「この頃までに、このくらいのお金が必要」という締切があります。

私はここが、老後資金の運用と教育資金の運用の大きな違いだと思っています。

老後資金教育資金
使う時期ある程度調整可能ほぼ決まっている
投資期間20〜40年取りやすい子どもの年齢次第
暴落時回復を待てる場合あり待てない場合あり
大切なこと長期運用出口時期の管理

実際に世界の株式が約58%下落したこともある

「長期・積立・分散なら、それほど大きく下がらないのでは?」

と思う方もいるかもしれません。

しかし過去には、世界中に分散した株式指数でも非常に大きな下落が起きています。

先進国株式の代表的な指数であるMSCI World Indexは、世界金融危機の際、2007年10月31日から2009年3月9日にかけて米ドルベースでは最大57.82%下落しました。なお、円換算では為替変動の影響も受けるため、下落率は異なります。

仮に200万円が同じ割合で下落すると、単純計算では100万円を大きく下回ります。

もちろん、これは「今後も必ず同じ下落が起こる」という話ではありません。

重要なのは、

投資をする以上、このような大きな価格変動が起こる可能性もある

ということです。

長期投資なら、その後の回復を待つという考え方があります。

しかし、その時が大学入学の3か月前だったらどうでしょう。

授業料の支払期限は、株価が回復するまで待ってくれません。

だから教育資金では、

「価格が下がること」以上に、「価格が下がっているときに使わなければならないこと」が大きなリスク

になります。

これが「出口のリスク」です。

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教育資金を全部NISAにする必要はない

ここまで読むと、

「それなら教育資金は全部預金にした方がいいのでは?」

と思うかもしれません。

私は、それも少し違うと思っています。

預貯金には、価格が大きく変動しにくいという大きな強みがあります。

個人向け国債なども、教育資金を準備するうえで選択肢になります。

契約内容によって将来受け取る金額を見通しやすい学資保険などの保険商品もあります。

そして投資信託もある。

つまり、

預金かNISAかという二択ではありません。

例えば、

数年以内に必ず使うお金は預貯金などで確保する。

10年以上使う予定のない資金については、投資信託を検討する。

大学進学が近づいたら、投資している資産の一部を徐々に現金へ移していく。

このように、役割を分ける考え方があります。

預金にも別のリスクがある

一方、預貯金なら何の心配もない、というわけでもありません。

物価が上昇すれば、同じ100万円でも将来買えるものは少なくなります。

教育費そのものが上昇する可能性もあります。

また、将来海外留学を考える家庭なら、為替も無視できません。

円安になれば、海外の授業料や生活費を円換算した金額は大きくなる可能性があります。

海外株式や海外債券などを含む投資信託には、こうした海外資産を持つという側面もあります。

もちろん反対に円高になれば為替は逆方向に動きますし、海外株式そのものが値下がりする可能性もあります。

つまり私たちが考えるべきなのは、

「リスクのない商品はどれか」ではなく、「自分たちはどのリスクを、どの程度取るのか」

ではないでしょうか。

価格変動リスク、金利リスク、インフレ、為替。

商品によって抱えるリスクが違います。

だからこそ、目的と使う時期を最初に決めることが大切です。

最初に考えたいのは「あと何年あるか」

こどもNISAを考えるとき、

年間60万円使える。

最大600万円まで非課税。

という数字から入る必要はありません。

むしろ先に考えてほしいのは、

「このお金は何年後に使うのか」

です。

0歳の子どもなら、大学進学まで約18年あります。

小学1年生なら約12年。

小学6年生なら約6年。

中学3年生なら約3年。

高校生なら、大学進学までそれほど時間がありません。

同じこどもNISAでも、0歳と15歳では意味がまったく違います。

制度から考えるのではなく、

子どもの年齢 → お金を使う時期 → 取れるリスク → 選ぶ商品

という順番で考えてみてはどうでしょうか。

そして、親子で「このお金」について話してほしい

私は、こどもNISAには投資による資産形成とは別の価値もあると思っています。

それは、

家族で将来とお金について話すきっかけにできることです。

子どもが中学生くらいになったら、一度この口座について話してみてもいいでしょう。

「あなたが小さい頃から、将来のためにこうやって準備してきたんだよ」

と伝える。

そして、

高校卒業後どうしたいのか。

大学なのか、専門学校なのか。

自宅から通うのか、一人暮らしをするのか。

海外で学んでみたいのか。

そのためには、どのくらいのお金が必要なのか。

そんな話を家族でする。

制度上も、こどもNISAでは一定の要件のもと12歳以降に払い出す場合、子ども本人が払い出しに同意したことを示す書面が必要とされています。

だから私は、親だけが知らないところで運用する口座ではなく、成長に合わせて子ども自身がお金について考える教材として使うことにも意味があると思います。

こどもNISAで大切なのは、「どの商品が一番増えるか」を探すことだけではありません。

そのお金をいつ使うのか。
そのためにどの程度のリスクを取るのか。
そして、そのお金で子どもはどんな未来を描くのか。

そこまで家族で考えることが、こどもNISAを始める本当の第一歩なのかもしれません。

次回は、未就学児・小学生・中学生・高校生に分けて、「大学進学まであと何年あるのか」という視点から、年齢別にこどもNISAとの向き合い方を考えてみます。

※本記事は特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資信託等には価格変動や為替変動等により元本割れとなる可能性があります。
預貯金、債券、保険商品についてもそれぞれ特徴やリスク、条件があります。ご家庭の資金計画や目的に応じて判断してください。

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