高校の受験にむけて、まだ志望する学校が決まっていないお子さまは、夏のオープンキャンパスや説明会、見学会に複数参加されるのではないでしょうか。既に受験したい高校を決めている友だちがまわりに多いと、まだ定まっていないお子さま本人は不安を感じる時期でもあります。
そんなとき実際に学校を見学したり、先生方の話を聞いたりすることが、自分に合った学校をみつける手助けになります。夏休みが始まったら、受験勉強を本格的に始めることが大切です。複数の学校を見て、知って、夏休みからは、迷いなく本番に向けて受験勉強をスタートしてほしいものです。
この記事は、将来大学への進学を考えているご家庭の皆さまにむけてまとめたものです。夏のオープンキャンパスや説明会、見学会で有益な情報を得るために、しっかり準備しておきましょう。私たちの親の世代とは違い、現代の高校生のおよそ半数は総合選抜型(面接や小論文など)や学校推薦型選抜(指定校推薦など)の一般入試以外で大学進学をします。これは、入学する高校によって希望する大学進学の機会や選択肢が異なることを意味しています。
総合選抜型(面接や小論文など) | 学校推薦型選抜(指定校推薦など) | |
国立 | 5,439人 (5.6%) | 11,450人 (11.7%) |
公立 | 1,294人 (3.8%) | 8,823人 (25.8%) |
私立 | 78,175人 (15.7%) | 207,184人 (41.7%) |
出所:文部科学省 令和4年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
今回は、オープンキャンパスや説明会、見学会に参加するときに役立つ8つのポイントをご紹介します。これらを押さえておけば、「ああ、あれを準備しておけばよかったな」とか「あの時にあれを聞いておけばよかった」といった後悔をしなくて済むでしょう。
私自身も中学生3年生の娘がいて、既にいくつかのオープンキャンパスに参加し、今後も数校予定があります。また高校生の息子が、日々家族に教えてくれる大学進学の実情についても、最後に2点紹介します。
それぞれの地域性もありますので、心配な方は必ず訪問先の高校のホームページや事務局にて確認をしてください。
参加する目的を明確にする
もっとも重要なことです。具体的には、現地に行って何を見て、何を聞くか、を事前に決めておくことです。高校の施設、先生や在校生の雰囲気も大事な要素ですが、大学進学にむけて、確認すべき点は「大学進学のための手段や選択肢」と「特待生の制度や奨学金制度」です。
「進学の手段や選択肢」とは、一般入試に加えて総合選抜型(面接や小論文など)や学校推薦型選抜(指定校推薦など)の実績です。特に学校推薦型選抜(指定校推薦など)について、直近の実績を確認します。毎年約束された枠ではありませんが、わが子の選択肢は一つでも多いに越したことはありません。
「特待生の制度や奨学金制度」は、おもに私立高校の場合です。学費の面では、公立高校のほうが経済的な負担は軽いですが、特待生になれば授業料が全額免除もしくは一部免除になります。
※修学旅行や海外研修の積立金は別途必要です。
また個別指導などにも力を入れている私立高校なら、学習塾に通わなくてもよく、塾費が節約できる分、公立高校との費用がさほど変わらない可能性もあります。
申し込み方法
学校によってさまざまです。いま通っている中学校が窓口となる場合もあれば、行きたい高校に直接Webから申し込む方法もあります。いずれにしても締め切りがあるので、早めのアクションを心がけましょう。ゴールデンウィーク明けくらいには、各高校のスケジュールが公表されはじめ、6月に入ると申し込みの受け付けがスタートするケースが多いようです。事前に中学校から都道府県内の説明会一覧表が配布されることもあります。
服装
基本的にカジュアルな服装で問題ありません。面接試験ではないので、ジーンズとTシャツのような格好でも大丈夫です。ただし、訪問先の学校で室内用のスリッパが用意されていることがあります。暑い時期ですが、素足にサンダルだけは控えたほうがいいと思います。服装については地域性や学校の特色もあるので、気になる方は、事前に各高校の事務局へ電話確認しておくと安心です。
持ち物
必須アイテムは、上履き用のスリッパです。屋内シューズでも大丈夫です。訪問先の高校によっては、室内用のスリッパが用意されていることもありますが、念のため持参しておくとよいでしょう。他には、筆記用具とメモ用紙があれば、十分です。各高校でちゃんと資料が用意されています。写真やビデオ撮影を希望される方は、制限されていることが多いので、当日現地で確認してください。
参加者
本人のみ、保護者同伴、保護者のみ、のいずれかです。保護者同伴の場合は、各家庭の方針や状況によりますが、可能であれば父親と母親のお二人での参加をおすすめします。よくあるのは、お父さんが同伴したけど、肝心なことを聞いてこないケースです。また保護者が参加できない学校もあります。いずれの場合も、事前に何を見て、何を聞くか、をしっかりと準備しておきましょう。父子家庭や母子家庭の場合も、職場や学校の先輩パパママに相談して、当日に備えましょう。保護者だけが参加した場合は「子どもに直接見てもらいたい、聞いてもらいたい」と思ったら、家へ帰ってからすぐに子どもに感じた思いを伝えてください。
交通手段
駐車スペースの都合や近隣住民への配慮で、マイカー利用を禁止している学校もあります。必ず守りましょう。どうしても車を使いたい場合は、付近のコインパーキングや知人宅を探しましょう。あえて電車やバスを利用して、実際の通学時間を体験するにはいい機会だと思います。
公立と私立の違い
公立高校のオープンキャンパスは全体的にわりとあっさりとした印象でした。ゆえに説明後、質問する人はほとんどいません。(何となく質問しづらい雰囲気かもしれません)個別相談の時間を設けないケースが多いので、質問するタイミングは説明会終了後か、校内見学の移動中くらいしかありません。臆せずどんどん聞いてみましょう。対して、私立は会場の演出にも各学校の特色があり、個別相談の時間も十分にあり、納得いくまで時間が与えられていたことが多かったです。
個別相談
私立の学校は、個別相談の時間がスケジュールに組み込まれています。その学校に少しでも受験、進学の可能性があれば、必ず個別相談を受けてみてください。多くの場合、説明会や校内見学を終えたあと、そのまま希望者が個別相談のブースに立ち寄るパターンとなります。理事長や事務長、校長先生なども対応してくれます。いわゆる経営者層とも直接会話ができる絶好の機会です。どんどん遠慮なく、質問してみましょう。親切丁寧に教えてくれますよ。
現役高校生からアドバイス
最後に、2つお伝えしますね。まず、指定校推薦についてです。息子の言葉によれば「指定校推薦がもらえる人は、一般入試でもその大学に合格できる実力がある」ということです。私も学校を訪れて確認した結果、その言葉に納得しました。指定校推薦で合格すると、滑り止めの受験料や入学金を払う必要がなくなるうえ、早めに下宿先を決めることもできるので、親としては安心できますが、現実はそう甘くはないということです。娘には、高校入学後も努力し続けることの大切さを伝えました。
次に、部活動ごとの進学実績も参考になります。忙しい部活でも、しっかりと勉強に取り組んでいる雰囲気があり、毎年しっかりと進学実績を残していれば、親としても安心して応援できます。友達や仲間の影響は非常に大きいので、一緒にがんばれる環境があることは良いですね。
まとめ
もう一度まとめると、夏のオープンキャンパスや説明会、見学会で事前に準備・確認することは以下の8つでした。
将来の進路は選択肢が豊富であるがゆえ、自分自身で選ぶ力が求められます。これらのポイントを押さえて、お子さまの進路選択をサポートしましょう。どんな学校が自分に合っているかじっくり考え、夢に向かってがんばってください。きっと素晴らしい未来が待っています!