わが家にいる、超ガチのジャニーズファンから「ジュリーさんの株って、買えるの?」との質問がありました。同じ疑問をもつファンの方もいらっしゃるでしょう。
ということで、今回は金融教育の観点から、渦中のジャニーズ事務所の株式について書いてみることにしました。
先ほどの質問に対する回答は、「上場していないので、市場(証券会社を通じての取引)では売買できないけど、非上場会社の株式でも売買はできる」です。つまりジュリー氏の一存で、株式の売却は可能となり、買い手と交渉の末、金額に合意できれば、売買は成立します。
本題に入る前に、まずこの度の件で被害に遭われた方々はもちろん、所属タレントやファンの皆さんまでも、さぞ辛い思いをしていることでしょう。解決までには、時間がかかると思いますが、メディアをはじめよりよい社会になることを願っています。
100%所有は最高権力者
ジュリー氏が、ジャニーズ事務所の株式を100%所有していると言われています。専門的なことばでいうなら、全ての決議を「単独」で可決できる権限があります。いっぽうで株式を1株も持っていない東山新社長は、以下のような権限は一切ありません。
つまり、株主総会がジュリー氏単独で行われ、その議事録を東山新社長が見ることもできない可能性があるということです。他にも社長や役員の交代はもちろん、会社の売却や役員報酬の変更など、あらゆる権限がジュリー氏に残ったままとなります。
超優良企業と推測
予想はしていましたが、ジャニーズ事務所は、かなりの優良企業と思われます。今をときめくSnow Manを参考にして推測してみました。
Snow Manの4つのビジネス(ファンクラブ年会費・ライブチケット・グッズ販売・ソフト販売)だけで、少なくとも各々20億円以上、CD・ブルーレイ等のソフト販売においては、1度のリリースで100億円近くの売上を上げている可能性があります。スポンサー収入等を含めば、Snow Manだけで、少なくとも300億〜500億程度のお金を稼ぐアーティストです。この金額がすべてジャニーズ事務所に入るわけではありませんが、事務所の収益がこのうち数%〜数十%くらいだとしてもかなりの金額となります。
Snow Manの他にも、ジャニーズ事務所には、20組のファンクラブが存在しており、少なく見積もって1アーティスト年間200億円として、名だたる20組で年間興行収入4,000億円(この一部がジャニーズ事務所全体の売上高となる)は下らないと推測しました。
同業他社との比較
もう少し客観的に判断するため、上場している同業他社も調べてみました。ジャニーズ事務所は、音楽事務所でありながら、さまざまなイベントなども手掛けており、音楽業界と広告代理店の双方を参考にします。音楽業界からエイベックスとアミューズ、広告代理店では電通グループと博報堂DYHLDGS、計4社は以下のとおりです。
先ほどもお伝えした内容からするとジャニーズ事務所の売上高は、エイベックスやアミューズを超えている可能性があります。これまで上場を目指せるけど、あえて上場しない選択をしている可能性もうかがえます。大手企業や投資ファンドの立場なら、買収先の企業として、とても魅力的な企業だと思いませんか?
買わない理由
このようにジャニーズ事務所を投資先として見た場合、他社に引けをとらない優良企業と思われます。サンスポのオンラインニュース(2023年9月8日付)では、ジャニーズ事務所の評価額(売買価格の目安)は、4,300億円ともいわれていました。エイベックスやアミューズの時価総額を軽く超えていますね。いずれにしても、大手企業や投資ファンドなら買えない金額というわけでもありません。
しかし、この数週間で事務所の対応(所属タレントの1年間の出演料、スポンサー料を事務所側が受け取らないなど)が刻一刻と変化し、スポンサー企業の契約打ち切りが相次いでいます。今後の被害者救済対応によっては、さらなる企業リスクが表面化することも考えられます。
もしかしたらの話ですが「ジャニーズ事務所を欲しいけど、買うのは今じゃない」と判断し、様子見や水面下の交渉を検討している企業がいくつもあるのではないでしょうか。当然、ジュリー氏が株式を売却する意思があることが前提です。
まとめ
金融教育の観点からみる、ジャニーズ事務所のはなしはいかがでしたでしょうか。ジャニーズ事務所の株式は、ジュリー氏の一存で売ることができます。買い手が現れ金額に合意できれば、売買成立となります。
しかし、仮にジャニーズ事務所を買収したい会社がいても、今の状況ではいくらが妥当な金額か、評価できる状況ではありません。なぜなら、将来にわたるスポンサー料、出演料の見通しが立たず、さらには人材流出(人気タレントの移籍や独立など)のリスク、さらなる不祥事リスクなども起こり得るからです。
事務所の対応とともに、ジュリー氏が株式の所有について、どのような行動にでるかに注目していきたいところです。