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【2025年版】「金融教育」の役に立つ本はこの10冊+1冊!今年読んだ5つ星を紹介します

本&ニュース

2022年から続けている「金融教育に役立つ本」シリーズ、2025年版です。
2025年は、政治経済の大きな動きに加え、生成AIの実務への浸透が加速した1年でしたね。

「金融教育」といっても、単に投資の手法を学ぶだけではありません。日本や世界の経済情勢(国力・地政学)、企業がどう価値を生み出すか(ファイナンス・データ活用)、そして最新技術(AI)がどう未来を変えるかを知ることが、子どもたちに教えるべき「生きる力」の根幹になります。

この記事では、金融教育に携わる方を対象に、次のようなお悩みのヒントになる本を紹介します。
「授業や教材をもっと工夫したい」
「難しいお金の話を、わかりやすく伝えたい」
「経済の仕組みや投資の知識に、自信が持てない」
「子どもの将来のために、親としてできることを知りたい」

わたしの年間の読書量は、100〜150冊程度(金融教育以外のジャンルも含む)です。
その中から、特にオススメしたい今年読んだ5つ星冊11をまとめました。

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『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』

編著者:高市早苗
出版社:産経新聞出版
レベル:★★☆(中級)

【こんな人にオススメ】
デフレ脱却・成長投資・核融合など将来シナリオを俯瞰したい
報道の要点だけでは掴みにくい高市総理の考えを、一次情報で的確に把握したい
日本の将来に不可欠な力(外交・防衛・経済・技術・情報・宇宙・人材)を整理して学びたい

金融教育の土台は、まず「国を知ること」から始まります。本書を読むと、外交・防衛・経済・技術・宇宙・人材といった一見バラバラに見える分野が、実は密接につながり合っていること(相互作用)がよく分かります。一つのニュースを多角的に見る「複眼的な思考」を養うのに最適です。

特に、宇宙開発やAIといった最先端技術と、それを社会で安全に使うための法整備や倫理(ルール)について、要点を短時間で押さえられるのが魅力。 また、エネルギーや核融合といった分野への財政出動を、単なる「支出(コスト)」ではなく、「未来の経済成長を生むための投資」として捉える視点が得られます。これからの日本経済を考える上で、親としてぜひ持っておきたい視座が詰まった一冊です。

『コーポレートファイナンス 戦略と実践』

著者:田中慎一、保田隆明
出版社:ダイヤモンド社
レベル:★★★(上級)

【こんな人にオススメ】
ファンダメンタルズ分析を深めたい「本気」の個人投資家
経理・財務部門で「数字の意味」を語れるようになりたい若手社員
事業だけでなく「財務戦略」も理解したい経営者・ビジネスリーダー

図解を使い、ファイナンスを物語のように理解できる良書です。正直、専門的な内容なので少し難しいと感じるかもしれません。ですが、買って損は絶対にしません。 むしろ、分からないことがあるたびに読み返せるよう、ずっと手元に置いておきたい「一生モノの教科書」です。経営視点(事業と財務の両輪)と投資家視点(ROAや企業価値算出)の両方が体系的に学べ、株価の妥当性を自分で判断する「投資の眼」を本気で養いたい方には、価格以上の価値があります。

『金融とメディア、ITが融合する日』

著者:北尾吉孝
出版社:SBクリエイティブ
レベル:★★☆(中級)

【こんな人にオススメ】
変化の激しい時代に「先見の明」を養いたい
金融業界で従来のビジネスモデルに限界を感じている
暗号資産の「法規制」や「国際的な立ち位置」を知りたい

SBIグループを率いる北尾氏が描く、金融の近未来図です。特に「お金の未来」と「技術」の関係について、目からウロコの視点が満載でした。「金融機関が決済データを活用して『メディア』になる」という予測や、米国が暗号資産を逆に利用してドル覇権を維持しようとする分析は、ニュースの見方を変えてくれます。 AIだけでなく、Web3(ブロックチェーン)こそが金融インフラの本命であるという視点も重要。技術の本質を見極める「先見力」を養うのに最適な一冊です。

『「基軸通貨」ドルと円のゆくえを問い直す』

著者:土田陽介
出版社:筑摩書房(筑摩選書)
レベル:★★☆(中級)

【こんな人にオススメ】
金融商品を扱う実務家
「日本の利上げ」の影響が気になる
米国の経済制裁が通貨に与える影響を知りたい

著者は欧州経済に詳しいエコノミストで、米ドルが基軸通貨として成立した経緯や、ルーブル・ユーロとの関係性を分かりやすく解説しています。

特に勉強になったのは、基軸通貨の条件として「圧倒的な国力」「高度な金融市場」「突出した交換量」の3点が挙げられていたことです。米ドルの覇権に対して日本円がどう立ち回り、今後どのような道を歩むべきかが示唆された、混迷する世界経済を読み解くための必読書です。

『三千円の使いかた』

著者:原田ひ香
出版社:中央公論新社
レベル:★☆☆(初級)

【こんな人にオススメ】
社会人になったばかりのあなた
人生の節目やピンチに直面している
読みやすく、心温まる小説を読みたい

今回唯一の小説ですが、金融教育の入門書として最高の一冊です。 祖母、母、娘それぞれの世代のお金に対する悩みや価値観がリアルに描かれています。「3,000円をどう使うかで、人生が決まる」というメッセージは、中高生やその保護者にもぜひ読んでほしい内容。家族でお金の話をするきっかけになります。

『君はなぜ学ばないのか?』

著者:田村耕太郎
出版社:ダイヤモンド社
レベル:★☆☆(初級)

【こんな人にオススメ】
いつも株価変動が心配
台湾有事の可能性を探りたい
覇権国家アメリカの行く末を知りたい

「勉強しなさい」と言う前に、大人が読むべき本です。変化の激しい時代において、なぜ学び続ける必要があるのか、何を学ぶべきなのか。 既存の学校教育の枠にとらわれない学びの姿勢は、そのまま「人的資本(稼ぐ力)」を高める話につながります。キャリア教育の視点からも5つ星です。

『エブリシング・ヒストリーと地政学 マネーが生み出す文明の「破壊と創造」』

著者:エミン・ユルマズ
出版社:文藝春秋
レベル:★☆☆(初級)

【こんな人にオススメ】
米国の政治・外交の「本音」を知りたい方
複数の分野(歴史・地理・経済)を繋げて子どもに教えたい
国際ニュースの「なぜ?」を深く理解したいビジネスパーソン

人類史を「マネー(経済的必要性)」で読み解く一冊です。 「大航海時代は関税逃れのため」「テンプル騎士団が銀行の元祖」など、歴史の裏には必ずお金の力学があることが分かります。特に、米国がイスラエルを支援する宗教的な背景(福音派の影響)や、争いの種が「石油」から「半導体」へ移り変わる現代の分析は必須。ただのニュースが「歴史の必然」として見えてくる、世界情勢を理解するための「最強の補助教材」です。

『財務省と国に騙されない!テレビ・新聞が報じない 経済常識』

著者:三橋貴明
出版社:宝島社
レベル:★☆☆(初級)

【こんな人にオススメ】
「財政破綻論」を多角的に検証したいあなた
「物価は、なぜ上がるのか」を読み解きたいあなた
緊縮や増税是非の要点をテンポよく掴みたいあなた

ニュースの「裏の因果」が見えるようになる一冊です。 物価上昇や賃金停滞、あるいは昨今の米価高騰や関税の問題などを、「需要と供給」「制度設計(税・社会保険)」「政策運営」という枠組みで読み解く視点が身につき、メディアの扇情的な見出しに振り回されにくくなります。

特に、増税や財政リスクの議論に対して、「何が前提で、どの指標を見ればよいか」を自分で点検できるリテラシーが得られたのは収穫でした。税・物価・貿易の最新情勢を短時間で体系的にインプットできるため、自身の投資判断はもちろん、子どもたちに経済を教える際にも直結する知識が得られます。

『生成AIが資産運用を変える: 実務で使えるプロンプトと社内導入のステップ』

著者:鹿子木亨紀、山田智久
出版社:金融財政事情研究会
レベル:★★☆(中級)

【こんな人にオススメ】
生成AIを実務で活用している
金融業界の経営に携わっている
社内で生成AIの推進を任されている

フロントオフィスでの投資判断支援から、バックオフィスのレポート作成業務まで、AIが業務効率と意思決定の質をどう高めるかが体系的に解説されています。

特に響いたのは、「社員が実際に利用し、利便性を感じなければ社内の活用にはつながらない」という導入のリアルな視点。 単なるプロンプト集にとどまらず、組織としてどうAIと向き合うか、その成功のポイントがコンパクトにまとまっています。「ChatGPTをなんとなく使っている」状態から、「実務で成果を出す」フェーズへ進みたい金融パーソン必携の書です。

『データドリブン・カンパニーへの道 データ・AIで変革を進める企業人に学ぶ』

著者:河本薫
出版社:講談社
レベル:★★☆(中級)

【こんな人にオススメ】
これからの働き方を模索する中堅社員
「DX推進室」や「AI導入プロジェクト」に配属されたリーダー
「データは揃ったが、成果が出ない」と悩む経営者・マネージャー

「高価なツールを入れたのに、DXが進まない」と悩むすべての方に読んでほしい、日本企業の核心を突く一冊です。 特に印象的だったのは、「統制型組織(言われたことをやる)」から「自律型組織(使命感で動く)」へ変わらなければ、データやAIは使いこなせないという指摘。 「AIをどう使うか」の前に、「仕事のやり方や意思決定そのものを変える覚悟があるか」が問われます。 データ分析の主役はデータサイエンティストではなく、現場のビジネスパーソン(あなた)であると勇気づけてくれる、変革のための必読書です

『1万人以上の不登校相談からわかった! 子どもの「学校に行きたくない」が「行きたい!」に変わる本』

著者:小川涼太郎
出版社:PHP研究所
レベル:★☆☆(初級)

【こんな人にオススメ】
教育熱心で、子どもの将来を真剣に考えている方
学校の先生や、教育現場に関わる方
現在、子どもの「行き渋り」や「不登校」に悩み、毎朝が辛いと感じている保護者

2022年から続けているこの「金融教育本シリーズ」で、初めて不登校に関する本を選びました。なぜなら、不登校は今や日本の大きな社会課題であり、親にとっても他人事ではないからです。

文科省の調査によると、小中学生の不登校は12年連続で増加し、2024年度には過去最多の約35.4万人(中学生の約15人に1人)に達しています。 実は、金融教育に関心が高い熱心なご家庭ほど、子どもが不登校になった時に「なぜうちの子が」「育て方が悪かったのか」と深く悩み、苦しむ傾向があります。

毎朝繰り返される「今日は学校に行くの? 行かないの?」という問答。出口の見えないトンネルに疲弊してしまう前に、ぜひこの本を手に取ってください。 著者は、科学的な知見に基づいたメソッドで、5年間に1,700名の再登校を支援し、平均20.6日で再登校に導いた実績を持ちます。

子どもの将来のお金やキャリアを考える土台として、まずは「家庭の安心」を取り戻すためのヒントが詰まった一冊です。

まとめ

金融教育は、「家計」「投資」だけでなく、国際経済、企業の意思決定、テクノロジー、そして「日々の生活の安心」とつながっています。

今年の11冊は、そのつながりを補強し、授業や家庭教育をより立体的にしてくれる本を中心に選びました。 気になる本が1冊でもあれば、ぜひ手に取ってみてください。

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