お金の使い道は、浪費・消費・投資の3つに分けられます。
今回は「投資」について考えてましょう。
ちなみに「浪費」は無駄遣い、「消費」は生活していく上で、必要不可欠な衣食住に関するものや、余暇を楽しむレジャー費用などです。
黄金(こがね)ちゃん、金太郎くんに質問です!
もし1億円が今すぐ手に入ったら、何に使いたいですか?
私は好きなアーティストのライブ行ったり、グッズがほしいな。
新しい服やくつも買いたいっ!
僕はパソコンがほしいな。高性能なゲーミングPC。
ついでにMacBook Proも買っちゃう!
みんな買いたいものがたくさんあるよね。
大人になって家や車が必要になってくると、1億円はどんどん減っていくよね?
今回は、投資を利用してお金を減らさず、増やす方法を考えてみましょう。
- お金の使い道は「浪費」「消費」「投資」に分けられる
- 1億円を投資で使った場合のイメージを共有する
- 思い描く仕事の年収を調べてみる
※本文の適用金利は、2021年9月5日時点の状況をもとに参考金利として用いています。できるだけわかりやすく説明するため、内容を簡略化。詳しい諸経費や税務処理は、個別にご確認ください。
銀行へ預ける
現金1億円って、見たことある?
重さどのくらいか知ってるかな?
ない、ない。
結構重そうだよね〜
まずは1億円を自宅に置いたままでは、心配なので近くの銀行へ持ち込んだ場合を考えてみましょう。
口座を作って、お金を銀行に預ける場合、普通預金(想定金利0.001%)と定期預金(想定金利0.002%)のいずれかを選択することになります。
定期預金は長い期間、銀行へ預けることを条件にしているので、普通預金より金利が高めに設定されています。
しかし現在の日本はすごく低金利なので、普通預金と定期預金の差はわずかです。とはいえその差は2倍、とみれば大きいかも。つまり金利が高くなるほど、定期預金のパフォーマンスがよくなります。
銀行に1億円を預けるなら普通預金や定期預金を使うんだね。
金利が0.0002%って、思っていたよりずっと低いわ。
金利については、大事なところなのでもう少し詳しく説明するね。
金利については、「単利型」と「複利型」があります。
「単利」とは、元本1億円のみに対して、毎年同じ金額2,000円(100,000,000円×0.002%)の利子が増えます。
何年経っても、元本の大きさは変わらなくて、毎年増える金額も同じです。
いっぽう「複利」とは、2年目は元本1億円に2,000円の利子を加えた、金額100,002,000円に金利を適用します。
以降年々、運用する元本が増えるので、利子も比例して増えていく仕組みです。
つまり期間が長くなるほど、単利と複利の差が大きくなります。
毎年もらえる利子については、利子所得となります。
単利型の場合、利息2,000円に対して20.315%の税金が徴収され、実際にはおよそ1,800円が振り込まれます。
銀行へ預けておくメリットは、いつでもお金が引き出せること。1,000万円までなら、銀行の経営破綻の影響を受けず元本保証されている点です。もし1億円を預けるなら、金融機関を分散しておくと安心です。
金利が高いなら複利型のメリットは大きなぁ〜。
銀行はすぐに使うお金を預けておくに適しているんだね。
金融商品へ投資する
じゃ、次は金融商品へ1億円を投資した場合を考えてみよう!
金融商品とは主に、
・株式
・債券
・投資信託
などがあるよ。
何だか難しそう〜。
投資ってギャンブルみたいで心配…
投資とギャンブルは全く別だよ。
まずは投資ってどんなものがあるかをみていこう!
株式
証券取引所に上場している会社が発行する株を買います。「株に投資をする」ともいわれます。
「株はリスクが大きいから怖い」というイメージがあるかもしれませんが、株を1億円で買うことによって、その会社の事業にお金が使われます。そして事業が順調に推移すれば、毎年配当金がもらえます。
例えば、配当金が年率3%なら100,000,000円×3%=3,000,000円となります。
この金額は、配当所得の対象となり、20.315%の課税がされます。1年間でおよそ2,400,000円増えることになります。配当金は、各企業の業績により、毎年変動します。
銀行の金利より、株の配当の方が利率が高いの?
1億円あると3%でも、年間300万円もらえるんだ!
傾向としては株の利率が高いよ。
でも、業績によっては無配当になったり、投資した1億円が値下がりすることもあるからね。
上場していない会社の株は、未公開株式といいます。証券取引所では売買されていません。
投資ファンド(投資家からお金を集めるしくみ)などが、将来性のある会社へ先行投資して、上場した時に莫大な利益を稼ぐことがあります。富裕層や資産家になると、そのような情報が入りやすくなり、購入する機会があるかもしれません。
債券
日本や諸外国の国債、自治体の地方債、企業の社債などです。
いずれも投資家から発行体(国や自治体、企業)がお金を借りている間(投資家からみると、国や自治体、企業へお金を貸す)、定期的に利子を支払う仕組みです。借りたお金で、行政の運営、公共事業や会社の経営をします。
※下図の赤字が債券のイメージ
1億円を一定期間預けた場合、毎年利子がもらえます。株の配当と異なり、預けた時点の利率は期間中変わることはありません。
日本国債は、100,000,000円×0.028%=28,000円(10年国債の場合)。
ソフトバンクグループ社債なら、100,000,000円×2.5%=2,500,000円(7年、2021年9月13日新発)。
これらも利子所得の対象です。期間が満了する(償還期間を迎える)と、預けた1億円が戻ってきます。
国債と社債で利率はずいぶんと違うんだね。
株と違って、元本が保証されているんだ!
お金を預ける期間は、短い商品だと数ヶ月から、長いものでは20年、30年にもなります。原則、元本保証ですが、国や自治体、企業などが経営破綻すると、預けたお金が戻ってこないこともあります。格付け会社が、発行体の危険度をランク付けをしていますので、参考にしましょう。
投資信託
株や債券を直接買わずに、1億円を証券会社と通してファンドに預けて、株式や債券、不動産を組み合わせた商品を選びます。(個別に不動産へ投資する場合は、後ほど記載します)
運用をプロにまかせるので、預けている間も手数料が差し引かれます。商品ごとに手数料は異なるので、事前に確認・比較をしておきましょう。
株式や債券へ直接投資するより、手数料が多くかかる分、収益性では不利ですが、少額から購入できるので直接投資よりリスクを軽減したいとか、いろいろ投資先を組み合わせてリスクを分散したい場合には商品が充実しています。
社会人になったら、まずは投資信託を買ってみていろいろ経験してみるといいと思うよ。
毎月1,000円程度から買えるし、公的年金や会社の退職金とも関連してくるからね。
金融商品まとめ
金融商品は、日々価格が変わります。買ったときより値上がりすれば、その時点で高く売ることもできます。その場合は、差額が儲けとなります。もちろん儲けは課税対象。譲渡所得となり、差額に20.315%が課税されます。
また日本国内だけでなく、先進国や途上国などの諸外国へ投資する商品もたくさんあります。地理・歴史・公民の学習内容もこのような機会に役立ちます。
投資は怖いイメージがあったけど、
ちょっと興味が湧いてきました!
貯金と使い分けて、少しずつやってみたいなぁ。
不動産を買う
続いては、不動産へ1億円を使ったケースを考えてみましょう。
不動産については、それぞれ物件によって状況が違うし、大きな買い物なのでしっかりと勉強する必要があるよ。
でも将来的には知っておいて損はないので、まずは全体像をみていこう!
分譲マンション
自分が住むためではなく、買ったマンション一戸を誰かに貸して収益をあげます。
たとえば、1億円で買ったマンションを毎月60万円で借りてもらえれば、1年間で60万円×12ヶ月=720万円となります。(都市圏の高級マンションなどを参照)
10年で7,200万円、20年で1億4,400万円。
また貸している間でも誰かが「売って欲しい」といえば、マンションを貸したまま売却することができます。上記の例で10年目なら2,800万円以上で売ることができれば、10年間の家賃総額7,200万円と合わせて、元金1億円が戻ってくることになります。
地方の都市などでは、家賃は毎月10万円前後が一般的でしょう。1年間で10万円×12ヶ月=120万円です。10年で1,200万円、20年で2,400万円となります。こちらの物件についても、当初2,000万円で買っていたら単純計算ですが、20年借りて貰えれば十分に元が取れますよね。
人気の物件は買ったときより、高く売れることもありますので、事前の市場調査は欠かせません。なお貸している間は、マンション管理会社への管理費や修繕積立金などのコストが毎月発生します。
アパート1棟買い
郊外にある8世帯や12世帯など低層(2階建て〜)の賃貸アパートを丸ごと購入します。
入居者から直接家賃をもらう方法と、不動産管理会社などに管理を一括依頼する方法があります。
良質な物件を安く買って、高く借りてもらえると収益性が高くなります。入居者が入れ替わる時の修繕&クリーニング費用が定期的に発生します。
商業用物件の購入
対象となるのは、コンビニや飲食店、ドラッグストアなどの店舗。貸事務所や倉庫、工場などの事業用施設をイメージしてください。
基本的な収支の考え方は、分譲マンションやアパート1棟買いと同じです。
一般的に、商業用物件の収益性は、居住用物件より高めですが、撤退リスクには特に注意が必要です。契約先の経営状況や賃貸借契約書の内容、近隣に出店している競合先などをしっかり抑えておくことがポイントです。
不動産まとめ
不動産については、物件ごとに購入時の諸費用がかかります。物件規模にもよりますが、数十万〜数百万円の範囲内が多いです。(購入金額の10%が目安)
また、貸している間も修繕費や管理費などのランニングコストが発生するので、事前にシミュレーションをすることがポイントです。
良い物件と出会うには、不動産会社と少しずつ取引を増やし、信頼関係が築けると優先的に情報がもらえるようになります。購入を決めるときには、複数の物件を比較すると納得いく判断につながります。
いきなり不動産に挑戦するのは少しハードルが高いけど、
いい物件があればいつでも買えるようにお金と知識の準備はしておこう!
まずはお金の管理をして、大きな買い物ができる準備が必要だね。
会社をつくる
他にも起業するために1億円を資本金として使うことができるよ!
会社を作って事業を始めたくても、お金がないと続かないからね。
1億円を元手に起業することもあり得るでしょう。モノを仕入れて、製品・商品を作ったり、たくさんの人を雇ってサービスを提供するなどの会社を立ち上げます。業種やビジネスモデルにより、成果はさまざまですが、自ら雇用の機会をつくり、地域や社会に貢献できることは大きな醍醐味です。
学生時代に起業する人もいます。いきなり会社を立ち上げることが不安であれば、まずは社会で経験をつみ、人脈づくり、お金の準備をしてから、チャレンジする方法もあります。
私、将来は起業したかったの!
確かにアイデアだけじゃなくて、
お金のことも考えないとね。
まとめ
1億円の使い道に正解はないけど、浪費・消費・投資のなかでも投資は準備と知識がとても大事。これをきっかけに少しでも、投資に興味をもってほしいです!
は〜い。
衝動買いは少し控えます。
社会人になるまでにある程度、金融商品のことを勉強しておこう!
いろいろ組み合わせて、上手にやりくりすることが必要だね。
さっそく調べてみるよ!
お金に対する価値観やライフスタイル、働き方によっても判断がわかれてくるでしょう。
数年後まとまった資金が必要なら、そのお金は銀行の預金などいつでも確実に元本が戻ってくる商品が適しています。
数十年先まで使う予定がないお金は、ある程度思い切った投資をしたほうが将来の生活に安心感をもたらしてくることもあります。
稼いだお金は効率よく、使っていくことと、残していくこと(=投資をすること)、この2つをまずは知っておいてくださいね。
「投資」に関する実践ワーク
質問例①:今回案内した中から、あなたならどこに1億円を使いますか?
【ポイント】選んだ選択肢とその理由を共有しましょう。疑問点があれば、その場で一緒にGoogle検索をして解決しましょう。専門知識がなくても大丈夫です。
質問例②:あなたの思い描く仕事は、1億円を稼ぐまでに何年かかりますか?
【ポイント】今回テーマにした1億円の価値を違った角度から認識してみましょう。
キャリアガーデンやマナビジョンなどを使って、職業ごとの年収が調べられます。
・ブログを読んだけど、授業で話題にするのが不安
・金融教育をどのように進めればよいかわからない
・この〇〇な部分がわからない
そう思われたら、ぜひお気軽にこちらからお問い合わせください。