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高校家庭科における金融教育の位置づけ『Agenda 家庭基礎』を解説

授業のヒント

2022年4月より、高校生においても新学習指導要領となりました。
この記事では、家庭科における新しい教科書の全体像と、そのなかで金融教育の位置づけを簡単にまとめました。その全貌は社会との関わりから始まり、出産や育児・子育て、衣食住に関すること、そして最後に全体の1/8程度のボリュームで、金融教育に関する内容となっています。

金融教育の観点から、できるだけ広くお金につながるヒントを模索しました。積極的にお金のことを生徒と一緒に考えたい、そんな指導者さま向けの内容に仕上げています。

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ねらいは「時流に乗って自立する」こと

グローバルな視点で問題意識を持つとともに、解決するためのプロセスを考え、実践につなげていく構成となっています。最近の傾向である「SDGs」や「消費者教育」も重視されています。

まずは、身近な地域の問題や日本社会が抱える課題に対して、一人ひとりがどう向き合っていくか、何が取り組めるか、時代の背景をデータでおさえておく必要がありそうです。

引用元:文部科学省 令和元年度地方協議会等説明資料

続いて、本書の内容を金融教育の観点から簡単に紹介します。8つのトピックスで深い学びができる構成です。

目次をチェック 8つのトピックスを紹介

引用元:実教出版ホームページより

第1章 自分・家族

人生の土台となるトピックです。
多様化した社会を見つめ、どう生きるかを考えます。目指す「職業」や「キャリア」が、社会とどのように関わっているかを一緒に考えると、より主体性をもって授業に取り組めるでしょう。
各生徒ごとに、将来の働き方による収入やライフスタイルに合わせた支出をイメージしてお金について、触れてみることもオススメします。

第2章 子ども

出産から子育てに関する知識を養い、子どもを育てながら生きることを考える内容です。
まず出産や子育てにかかる費用を知っておくことはとても大事なことです。後述する第8章では「教育費用」の概算が記載されています。

生徒自身が今までとこれからかかる教育資金を具体的に計算してみると、よりリアルに金額をつかむことができる可能性があります。

また子育てにはお金がたくさんかかりますが、政府や自治体からの支援もさまざまな制度があるので抑えておきましょう。貯蓄や投資の重要性もこのあたりで、少し触れておくとよいかもしれませんね。

第3章 高齢者

日本が抱える課題「社会の高齢化」を考える項目です。
公的年金や介護保険制度についてもわかりやすく載っていますので、できることならより具体的に先生方の「ねんきん定期便」や、ご家族の介護経験など共有できると理解が深まります。

ポイントは、これらの公的制度は経済成長が続くことが前提で、成り立っていることを知る必要があります。それゆえこれからは長く健康で生きられること、働けることがより重要となります。SDGsについても考えるきっかけがたくさんありそうですね。

第4章 社会福祉

社会保障制度がとてもわかりやすくまとめてあります。
社会保険(公的医療保険、年金保険、介護保険)や雇用保険、労災保険は社会人としての基本知識です。特に金融教育の観点からしっかり学んでもらいたいトピックですね。

引用元:厚生労働省ホームページ 社会保障とは何か

第5章 食生活

楽しく安全に食べることを学習します。
健康にもつながる重要な項目です。昨今の食料品の値上げなどの要因を考えることは、まさに金融教育のよい教材です。原材料の生産地の状況、製造コスト、物流&燃料費など、物の値段が決まる仕組みを調べると気づきも多いはず。(調理実習も楽しみ!)

第6章 衣生活

衣服について学習するトピックです。
実は衣料品の製造についても、経済成長やSDGsの観点からお金に関する話題がとても豊富なテーマです。多くの日本企業が製造現場を国内から中国へ、そして東南アジアへと移してきた歴史をヒントにして取り組んでみましょう。

第7章 住生活

さまざまなライフスタイル、暮らし方があることを学びます。
「仕事」や「キャリア」によって住む場所が決まり、住む場所や家によって、居住にかかる費用は大きく異なります。人生で家を買うのか借りるのか、大人でも迷う選択肢です。
人生の3大支出の一つである住宅費用は金融教育で必須科目です。次章でしっかりとライフプランを立ててみましょう。

第8章 消費・環境

まさに金融教育にあたるコンテンツが、こちらのトピックです。

引用元:実教出版ホームページ

テーマ01の「お金の管理とライフデザイン」では高校生に求められる、金融教育の全体像が載っています。下記の3つの見出しで簡潔にまとめられています。
1.収入と支出
2.家計の管理
3.リスク・マネジメント


わずか2ページですが、金融教育の観点からは核心となる部分です。このテーマにいつ、どのように時間を割くかがポイントとなりそうですね。

そして、1/2ページほどのスペースですが、コラムとして「さまざまな金融商品」というタイトルで、投資に関する記事が載っています。たったこれだけ?と感じる方も多いのではないでしょうか。くれぐれも、金融教育=投資教育ではありません。

まとめ

このようにすべてのトピックスにおいて、お金は深く関係しています。
教科書全体の印象としては、とても充実しており、大人もぜひ学び直したい内容です。その思いをいかに生徒へ伝え、興味&関心をもたせるかが授業の醍醐味ですね。
どのセッションにどれだけ時間を割くかは、学校により多少の違いはあるでしょう。

いっぽう、限られた時間で金融教育にフォーカスして深掘りすることは、現実的に難しいのではないでしょうか。金融教育を家庭科に含めることがこれからの社会では、少し無理があるようにも感じました。お金に関する授業は、年間を通してしっかりと取り組めるとなおいいですね。

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