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【SDGsゴール4・10】金融教育を受けた人は増えた。でも、まだ8.7%──J-FLEC調査から考える「お金を学ぶ機会」の格差

SDGs

「最近、NISAを始めました」「個別株、ちょっと買ってみました」──そんな声を、周りでよく聞くようになりましたよね。

実際、調査のデータもその肌感を裏付けています。J-FLEC(金融経済教育推進機構)が2026年3月に公表した「金融リテラシー調査(2025年)」によると、株式・投資信託・外貨預金のいずれかを購入したことがある人の割合は、2016年以降、調査のたびに増え続けています。

でもここで、立ち止まって考えてほしいことがあります。

「買ったことがある」と「理解して買った」は、まったく別の話です。

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投資する人は増えた。でも「わからないまま買った」人も増えている

同じ調査の中に、こんな数字があります。

株式購入者のうち、「商品性をあまり理解していなかった」「理解していなかった」と答えた人の割合は25.7%(2025年)。2016年の24.3%からじわじわと上昇しています。外貨預金にいたっては32.3%と、3人に1人が「よくわからないまま買った(預けた)」という状況です。

新NISAの普及を背景に、投資の入口は大きく広がりました。それ自体はとても良いことです。ただ、知識の広がりが追いついていない──この「ギャップ」こそが、今の日本の金融教育の核心的な問題だと、わたしは感じています。

良いニュース:金融経済教育を受けた人の割合は過去最高

調査の中に、希望の光もあります。

学校・職場・セミナーなどで金融経済教育を受けたと認識している人の割合は、今回8.7%。2016年(6.6%)から少しずつ増え続け、今回の調査で過去最高を更新しました。

受けた場所を見ると、「勤務先の従業員向け研修・セミナー」が約5割と最も多く、次いで「大学での授業・講義」(22.3%)、「上記以外のイベント・セミナー等」(33.1%)と続きます。企業や学校への講師派遣が本格的に動き始めた成果が、少しずつ数字に表れてきたと言えるでしょう。

でも「まだ8.7%」という、もう一つの見方

「増えた」という事実の裏側に、「まだ9割以上が受けていない」という現実があります。

政府は、2028年度末までに金融経済教育を受けた人の割合を20%へ引き上げることを目標に掲げています。比較対象の米国はすでに19%。日本はまだその半分にも届いていません。

さらに気になるのが、「教育を受けた人」と「受けていない人」の差が広がっているという点です。

今回の調査結果を見ると、金融経済教育を受けた人の正答率は66.7%(前回比+2.8ポイント)と上昇した一方、受けていない人の正答率は52.6%(同▲2.4ポイント)と低下しています。学んだ人はどんどん伸び、学んでいない人は置いていかれる──この格差の拡大こそ、今わたしたちが向き合うべき問題です。

「学ぶ機会」は、誰に届いているか

このデータを見て、金融教育に携わるみなさんにぜひ考えてほしいことがあります。

誰が教育を受けられて、誰が受けられていないのか。

調査から見えてくる「学ぶ機会の格差」を整理すると、3つの軸があります。

① 年齢の格差 18〜29歳の正答率は、全年齢層の中で最も低い水準です。しかも、自分の金融知識への自己評価は実際の正答率を大きく上回っており、「わかっているつもり」の過信(=金融リテラシーギャップ)が顕著です。若い世代が投資を始める時代に、知識が伴っていないという状況は、詐欺被害のリスクとも直結します。

② 職業・雇用形態の格差 今回の調査で、金融経済教育を受けた場所の約半数が「勤務先の研修・セミナー」でした。裏を返せば、職場を通じた教育機会のない人──非正規雇用者、専業主婦・主夫、自営業者など──は、そもそも入口に立ちにくい構造があります。正規雇用かどうかで、学べる機会に差がつくというのは、公平とは言えません。

③ 地域の格差 都道府県別の正答率を見ると、最高の香川県(60.3%)から最低の山梨県(47.8%)まで、12.5ポイントもの差があります。さらに興味深いのは、正答率の低い地域ほど「緊急時に備えた資金を確保している人の割合」も低いという関係です。お金の知識の格差が、生活の安定の格差にもつながっている。データはそう語っています。

SDGsゴール4・10と「金融教育」の接点

SDGsのゴール4は「すべての人に包摂的・公平な質の高い教育を」と掲げています。そしてゴール10は「人や国の不平等をなくそう」です。

お金を学ぶ機会が、年齢・雇用形態・居住地によって大きく偏っているという現実は、まさにSDGsが問いかける「教育の不平等」そのものではないでしょうか。

金融リテラシーの差は、放っておけば資産形成の差になり、老後の豊かさの差になり、詐欺被害のリスクの差になります。「知っている人はもっと豊かになり、知らない人はリスクにさらされる」──この連鎖を断ち切るのが、金融教育の使命のひとつだと、わたしは思っています。

わたしたちにできること

金融教育に携わるみなさんには、ぜひ「誰に届けるか」を意識してほしいのです。すでに関心のある人、すでに投資している人への教育はもちろん大切です。でも、まだ届いていない人──非正規で働く人、地方に住む人、若い世代──へのアプローチが、これからの金融教育の本当の勝負どころだと感じています。

8.7%から20%へ。

その数字の意味は、単なるパーセンテージの上昇ではありません。今まだ学べていない91.3%の人たちへ、どう届けるか。その問いに向き合い続けることが、2030年へのバトンパスにつながると信じています。

参考資料: 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「金融リテラシー調査(2025年)」2026年3月27日公表 https://www.j-flec.go.jp/data/literacy_chosa_2025/

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