本記事では、銀行口座に預けたお金を初めて引き出す人のために、手順をわかりやすく解説します。ATM(Automatic Teller Machine:自動現金預け払い機)の基本操作や銀行窓口での手続きに加え、時間帯によって変わる手数料の仕組みなどをまとめました。
銀行口座のお金を引き出す方法とは?
銀行口座にあるお金は、ATM(Automatic Teller Machine:自動現金預け払い機)や銀行の窓口で、手続きをすることにより受け取れます。
銀行から現金を引き出す必要性
日本のキャッシュレス比率は42.8%で、まだまだ現金が多く使われているようです(2025年5月31日:経済産業省発表)。例えば、現金が必要となる場面は以下のようなケースで考えられます。
【現金が必要となる場面】
・キャッシュレス決済を導入していない企業や個人商店
・学校の集金(教材費、遠足代など)
・地域のお祭りやイベントなど
・部活動の部費や用品販売
・一部の自動販売機や交通機関などキャッシュレス未対応のサービス
さらに、スマートフォンやカードのトラブル(バッテリー切れ、故障、紛失)、自然災害などで電子決済が使えなくなった場合には、キャッシュレス社会でも現金が役立つこともあります。
初めてATMを使う前に知っておきたいこと
ATMにはお札が収納されており、指定した金額分を機械が出してくれます。
ATMにキャッシュカードを入れて、暗証番号を入力すると、銀行口座のお金を下ろせます。ATM利用時には引き出し限度額や利用時間、手数料に注意しましょう。
キャッシュカードの暗証番号は本人確認のために使われる大切な数字(4桁)です。
他人に知られると口座のお金が盗まれる危険があるので、生年月日や電話番号など推測されやすい番号は避けましょう。
「暗証番号は他人に教えない、紙やスマホにメモしない」「定期的に暗証番号を変更して安全性を高める」ことが、セキュリティを保つポイントです。
※銀行員が店舗や電話で暗証番号を尋ねることは一切ありません。
銀行のATMでお金を引き出す基本的な手順
具体的に、銀行のATMや窓口でお金を下ろす方法を解説します。
ATM操作の具体的な流れ

【①キャッシュカードを入れる】
・キャッシュカードの向きを確認し、磁気ストライプやICチップがある面をATMの指示通りに挿入する
・カードを無理に押し込まず、ATMが自動で吸い込むのを待つ
・挿入後はカードが正しく認識されたことを画面表示で確認する
・取引終了後にカードが自動的に返却されるので、必ず忘れずに取り出す
【②タッチパネルの操作】
・画面の「お引出し」をタップ
・暗証番号を入力する
・引き出す金額を入力
・確認ボタンで確定
【③暗証番号を入力する(注意点)】
・暗証番号を入力するときは、周囲に見られないように手や身体で隠しながら入力する
・番号入力は落ち着いて正確に行い、間違えた場合は慌てず再入力する
・何度も間違えるとカードが使えなくなるので注意する
・操作中に不審な画面や警告が出たら操作を中止し、ATMの案内表示に従って対応する
・どうしても困ったら銀行員に声をかけ、相談しましょう(店舗のATMの場合)
【④お金を受け取る】
・ATMから現金が出てきたら、必ず取り忘れないように注意する
・明細票やキャッシュカードも忘れずに受け取る
銀行の窓口でも現金を引き出せる
ATMのほうがすぐにお金を下ろせて便利ですが、限度額は特に届け出がない限り1日あたり20〜50万円が一般的です。高額なお金が必要な場合には、銀行の窓口で手続きをする必要があります。
【銀行窓口を利用する場合の必要書類】
・預金通帳:口座を特定するため
・本人確認書類:運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど
・届出印:口座開設時に登録した印鑑(サインを届出している場合は署名)
【一般的な手続きの流れ】
① 番号札を取る
② 札に書かれた番号が呼ばれる
(もしくは掲示板に表示される)
③ 本人確認します
④ 窓口で出金伝票を受け取り、金額・口座番号・氏名を記入、届出印を押印します
⑤ 現金と控えを受領します

また、以下のような場合にもATMでは対応できないため、銀行窓口での手続きをする必要があります。
・暗証番号を忘れた/キャッシュカードを紛失・磁気不良:カード再発行と同時に窓口で出金します。
・ATM障害・メンテナンス中:システム停止時は窓口で伝票に記入し払出しとなります。
コンビニやショッピングモールのATMを上手に活用しよう
銀行のATMだけでは場所が限られ、普段の生活に不便な場合もあります。そのような場合には、コンビニやショッピングモールのATMで終日お金を下ろすことができます。ただし便利な反面、手数料がかかることもあるので注意が必要です。
コンビニATMが便利な理由
コンビニATMが便利な理由は、24時間いつでも使えることです。また多くの銀行と提携しており、1台のATM端末でほとんどの人がもっているキャッシュカードに対応しているのでとても便利です。
・部活動や塾の帰りに夜遅くても現金を引き出せる。
・早朝の集合(部活遠征・校外学習)の前に必要な金額を用意できる。
・週末や祝日も利用できるので、銀行の営業時間を気にしなくて済む。
・スマホ決済残高不足や交通系ICカードのチャージ切れに即対応できる。

【セブン銀行ATM、ローソン銀行ATM、イーネットATMの特徴】
セブン銀行ATM:セブン-イレブンを中心に国内約27,000台、海外21,159台(2024年12月時点)。メガバンク・地方銀行・ネット銀行など提携先が最多。海外発行カード利用可、12言語対応。
ローソン銀行ATM:ローソン店内を中心に13,584台(2024年3月末時点)。主要銀行と提携し、ローソンPontaポイント連携サービスが特徴。
イーネットATM:ファミリーマートを中心に11,988台(2024年3月末時点)。地方銀行・信用金庫など提携の幅が広い。一部のATMは、ご当地言葉で挨拶してくれます。
ショッピングモールのATMも便利
イオンやアウトレットなどのショッピングモールに設置されたATMです。買い物途中のついでに現金を引き出せる手軽さが魅力です。ただし営業時間はモールの開閉時間に連動します。
イオン銀行ATM/イオンモール設置ATM:イオングループが運営。全国のイオンモール・マックスバリュ・ミニストップなどに約6,800台(2024年5月末時点)。メガバンク・地方銀行・ゆうちょ・ネット銀行のカードが利用可。イオンのショッピングセンターやターミナル駅などにある。買い物途中に立ち寄りやすいですが、営業時間はモールの開館・閉館時間に連動します。
アウトレットモールのATM:複数の銀行ATMが共同設置されている。設置台数が限られるため、休日やセール期間は順番待ちになりやすい。銀行の施設ではないため、海外で発行されたカードや通帳に対応していない機種もあります。
ATM利用時に気をつけたい手数料と利用時間
コンビニやショッピングモールのATMからお金を下ろすときには、「時間帯による手数料の変動」「銀行ごとの手数料の優遇条件」「利用時間の制限」「上限額の違い」などがあることを知っておきましょう。※原則として、手数料がかかる場合であっても、口座を開設した銀行の利用条件によっては無料となることもあります。

【現金引き出しにかかる手数料(2025年5月末時点)】
セブン銀行ATM(セブン‑イレブン)
・三菱UFJ銀行キャッシュカード▶︎毎月25日と月末のみ8:45‑18:00は無料(土日祝や12月31日の場合は前営業日)その他平日8:45‑18:00は220円、土日祝は330円。1回あたりの引き出し限度額20万円、1日あたり50万円。
・ゆうちょ銀行カード▶︎平日8:45‑18:00と土曜9:00‐14:00は220円、その他時間帯は330円。1回あたりの引き出し限度額20万円。
参考:セブン銀行「手数料・利用時間」
ローソン銀行ATM(ローソン)
・ローソン銀行の口座なら7:00‐19:00無料。
参考:ローソン銀行「手数料一覧」
イーネットATM(ファミリーマート等)
・地方銀行や信用金庫のカードは、多くの場合、平日8:45‑18:00は110円。
参考:イーネット「ATM手数料・サービス時間」
イオン銀行ATM(イオンモール)
・イオン銀行キャッシュカードは24時間365日無料。
・平日の日中なら一部の提携銀行(三菱UFJ・みずほ銀行・ゆうちょ銀行)では手数料無料。
参考:イオン銀行「ご利用いただける銀行ATM」
全体として、18:00〜翌8:45や大型連休・年末年始は土日祝扱いで手数料が高く設定されている傾向です。また同じATMでも銀行ごとに無料時間帯や上限額が異なるので、利用前に公式サイトやアプリで確認しましょう。「出金手数料」が自分の口座からお金を下ろすときの手数料です。
また、自分の銀行のキャッシュカードを自行のATMで使う場合、平日 8:45〜18:00 は出金手数料が無料であることが一般的です。この時間帯をゴールデンタイムとして覚えておくと無駄なコストを避けられます。
安全にATMを利用するための注意点
ATM利用時のセキュリティ対策
【暗証番号の盗難防止策】
・タッチパネルを押す手を他人から見られないようにする
(例:数字を覆うように手で隠すことを徹底する)
・後ろに並ぶ人とは距離を取り、黄色いラインより前に入れないようにする
・操作中に声を掛けられたら一旦「取消」で中断し、カードを抜いてから対応する
・テンキーやカード挿入口に不自然なカバーや小型カメラがないか、利用前にサッと確認する
※銀行員が店舗や電話で暗証番号を尋ねることは一切ありません。

【ATM利用時の周囲の確認】
・隣のATMが空いていれば1台分あけて使うと、覗き見の防止になる
・現金やレシートはその場で数えず、すぐに財布にしまってから移動する
・夜間や雨天のときは、店内(コンビニ・モールなど)のATMを選び、明るく人通りがある場所で操作する
・スマホやバッグを足元やATMの台に置かず、肩に掛けるかポケットに入れるなどして両手を空けておく
近年は指静脈や掌静脈などの生体認証に対応したATMが増えています。暗証番号を忘れたときやセキュリティ強化の観点からもメリットがあるので、積極的に活用してみましょう。
お金を引き出す限度額や回数
限度額は、①銀行の初期設定、②本人設定(インターネット・窓口で変更可能)、③カードの種類・年齢・資産状況により変わります。下の表は、普通預金キャッシュカード(個人)の代表的な限度額の例です(2025年5月末時点)。
銀行 | 1回あたり上限 | 個別設定による上限 | 備考・参照元 |
三菱UFJ銀行 | 50万円 | 200万円 | 「かんたん手続アプリ」で24時間365日、来店不要でキャッシュカードのご利用限度額を変更できる |
ゆうちょ銀行 | 50万円 | 200万円 | ゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口で限度額の変更ができる |
イオン銀行 | 50万円 | 200万円 | 店舗・コールセンターにて受付 |
各銀行のATMでは、初期設定ではおおむね50万円まで引き出しができるようです。しかし、不必要に現金を持っていると盗難や紛失のリスクが高まります。また、あなたがATMから大金を下ろす姿を、誰かに見られている可能性があることも常に心に留めておきましょう。
学校や家庭で実践できる事前準備
短い時間でも、大人にとっては当たり前の動作を学校と家庭が連携して練習することが、子どもたちの「消費者教育のリテラシー」を育みます。
振り込め詐欺対策として ATM 操作中のスマホ通話が禁止されている事例などを取り上げれば、より身近に考えるきっかけにもなるでしょう。
ATMの使い方の理解を深める学習
- 学校で行うグループ学習
グループに分かれて、各銀行の公式サイトから情報収集→比較分析→発表をします。
- 班編成(5分):3〜4人で1班。役割を決める
— リーダー(進行)/リサーチャー(情報収集)/デザイナー(資料作成)/スピーカー(発表)など - 銀行担当の抽選(2分):三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行、イオン銀行、地元銀行の中から1行をくじで決定する
- 情報収集(15分):担当銀行の公式サイトで、次の3点を探してスクリーンショットを撮るか、またはメモにまとめる
- ATMの基本操作フロー
- 利用可能時間と手数料表(平日昼・夜/土日祝)
- 特徴的なサービス(生体認証、海外で発行されたカードへの対応など)
- 比較・分析(8分):隣の班(別の銀行を担当)と情報交換し、「違い」や「共通点」を付箋に書き出す
- ポスターまたは1枚のスライド作成(10分):テンプレートに沿ってまとめ、最後におすすめの理由を記述して結論づける
テンプレートのダウンロードはこちら
- 1分プレゼンテーション(各班)+質疑(総計5分):時間内でポイントを伝え、他の班から質疑応答を受ける
- 振り返り:学んだ内容を共有する
- 家庭でATM利用を実践する
まずは明るく人通りの多いスーパー内のATMで、実際に現金を引き出す体験から始めてみましょう。
ステップ | 親子でのポイント | 所要時間 |
① 事前計画 | ・目的額を決め、手数料無料時間帯を調べる | 5 分 |
② 同行操作 | ・子どもにカードを持たせ、親は 1 歩後ろで見守り・暗証番号入力時は肩越しに見ない | 10 分 |
③ 振り返り | ・受け取った明細票で「残高」「出金額」が一致しているか確認・使い道をメモ | 5 分 |
セブン銀行の「スマホATM」
セブン銀行の「スマホATM」は、キャッシュカードを使わずにスマホだけで現金の引き出しや入金ができるサービスです。財布を忘れたときや急に現金が必要になった場合でも、セブンイレブンに行けば現金を下ろせます。今回の記事では詳しく触れませんが、サービスの多様化が進むと思われますので、参考情報としてリンクを掲載します。
スマホATMの操作方法(出金の場合)
※上記のリンクは、 2025 年 5 月 31 日時点の公開情報です。
まとめ|ATMの利用を通じてお金の管理を学ぼう
今回の記事では、 ATM を中心にお金を「安全かつ便利」に下ろす方法を解説しました。
自分の口座がある銀行のATMで平日の日中にお金を引き出せば、手数料はかかりません。コンビニやショッピングモールの ATM も便利ですが、利用時間や手数料の見極めが必須です。
➡︎授業で試すなら:
ロールプレイのテンプレートをダウンロードし、次回の家庭科で実践してみましょう。
テンプレートのダウンロードはこちら
➡︎家庭で試すなら:
週末のお買い物ついでに、お子さん主導で ATM を操作してみましょう。