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証券とは?中学生向けにわかりやすく仕組みを解説します!

授業のヒント

証券とは、中学生にとっては普段あまり聞くことのないワードですが、企業がお金を集めるときに発行する株式や債券のことです。

3年生の公民では「株式会社の仕組み」や「貨幣の役割と金融」などで学習する機会があります。企業が発行する債券を社債といい、国が発行する債券が国債です。

岸田内閣が国民の現預金を積極的な資産運用へ誘導する「資産所得倍増プラン」の策定を表明しました。これにより政府の方針が「貯蓄から投資へ」舵をきり始めた今、中高生向けの金融教育では必ずおえておきたい分野です。

この記事では、つみたてNISAやiDeCoを必然的に購入していく世代に伝えていくべき内容の一つ、株式と社債について簡潔にまとめました。公民の学習と合わせて使っていただけると、生徒さんの理解がより深まります。

<授業のポイント>
・株式と社債の基本的な知識を理解する
・具体的な商品の仕組みを確認する
・貯蓄以外の運用方法について関心度を高める
【SDGs】ゴール①④⑧

(引用元:中間層の資産所得拡大に向けて 日本証券業協会2022年7月20日)
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証券とは

銀行預金の通帳や商品券なども広い意味では証券に入りますが、今回は金融教育の観点から前述のとおり株式や社債にフォーカスしてお伝えします。

株式は企業が投資家(金融機関や個人投資家)へ出資を募り、集まったお金と引き換えに発行するチケットです。以前は株券という紙面がありましたが、今は電子化されています。企業が稼いだ利益の一部は、投資家へ配当金として毎年分配されます。企業の業績によっては、配当金が出ない可能性もあります。

社債も株式同様に企業がお金を集める手段ですが、こちらは資金の出資ではなく、お金を投資家から借りときに発行されるものです借りたお金は期限が来たら必ず返さなければなりません。また毎年決められた利率で利子を支払う必要があります。

株社と債券に関するお金の流れイメージ図

私たちも証券会社を通じて、株式や社債を買うことができます。

ちなみにつみたてNISA、iDeCoを始めると必ず「投資信託」という商品に出会います。投資信託とは、株式や債券への投資&運用をファンドといわれるプロに任せる商品です。投資信託は、証券会社以外の銀行などさまざまな金融機関(対面、ネット問わず)で低額から購入できますが、基本となるのは株と債券の知識です。

投資信託に関するお金の流れイメージ図

証券は「直接金融」

企業が資金を集める方法は、投資家から直接株式や社債で集める以外にも、銀行からお金を借りる手段もあります。株式や社債は、投資家から投資目的のお金を直接集めるので「直接金融」といいます。

いっぽう銀行から企業がお金を借りることは、預金者の目的がお金を銀行に預けることであり、集まったお金の使い道については銀行に委ねていることから「間接金融」といわれています。

直接金融と間接金融のイメージ図

証券がもたらすメリット

投資家にとってのメリット

投資家はなぜ、株式や社債を買うのでしょうか?その理由を2つあげます。

理由その①配当金・利子がもらえるから

株式の場合は、業績に応じて毎年配当金がもらえます。社債は買ったときに約束された利子が、毎年支払われます。

引用元:楽天証券  2022年8月12日午前11時30分時点)

こちらは、ソフトバンクグループの株価です。(2022年8月12日午前11時30分時点)価格は、1株あたり5,680円を示しており、2022年3月期は1株あたり44円の配当金の支払いがありました。

各社の株価は1株あたりの金額で表示されます。通常株式の売買のときには、単位株で取引を行います。単位株とは会社ごとに、定められている最低取引単位です。1株、10株、100株、1000株と各企業それぞれ決められています。

上記のケースでは、ソフトバンクグループの場合は単位株が100株なので、最低売買代金は568,000円(5,680円×100)で、配当金は4,400円(44円×100)となります。

引用元:ソフトバンクグループホームページより

同じくソフトバンクグループの債券(社債)についても見ていきましょう。第56回普通社債は最低購入代金が100万円で個人投資家向けなのに対して、第57回は1億円と機関投資家向けとなっています。利率や満期までの期間は同じです。

毎年100万円×1.38%=13,800円の利子がもらえ、7年後には貸した100万円がソフトバンクグループから返してもらえます。
※配当所得、利子所得は加味していません。

理由その②値上がりしたら儲かるから

株式は企業の業績などによって、価格(=株価)が変動します。買ったときの金額より高いときに売れば、その差額が設けとなります。
※株式譲渡所得は加味していません。

引用元:楽天証券  2022年8月12日午前11時30分時点)

社債は満期までに保有すれば、必ず元金が返済されます。期間途中でも売ることもできますが、その場合の価格は保証されません。

企業にとってのメリット

企業はなぜ銀行からの借金だけでなく、株式や社債を発行してお金を集めるのでしょうか?

銀行からお金を借りると、元金の返済と利息の支払い義務はもちろん、担保提供などの可能性もあります。また借金が実力以上に多い会社とみなされると投資家に不安を与えてしまいます。銀行にとっても貸したお金が返ってこないリスクを負う必要があるので、一企業へ融資できる金額には上限があります。

株式の発行なら、出資金は返済義務がなく、配当金も業績が悪ければ支払う必要がないので、会社にとっては資金的なリスクが少なくお金を集めることができます。ただし、株主の発言によっては経営に影響が出るというデメリットもあります。

社債の発行は、お金を借りるという意味では銀行からの借金と同じです。借り入れとの違いは、用途や運用期間など目的を持って投資家と直接取引ができること、株式ではないのでお金を借りた相手から経営に干渉されない点がメリットです。

証券会社が行う4つの業務

証券会社の基本的な業務をお伝えします。
ちなみに業界最大手は野村證券です。個人投資家向けのネット証券会社では、SBI証券や楽天証券が口座を増やしています。

①投資家と証券取引所の仲介業務

ブローカー業務といわれ、投資家が証券取引所を通じて株式を売買するときの仲介をします。私たちの日常にもっとも馴染みある業務ですね。国内に本店がある証券会社だけでも271社あります。(出所:日本証券業協会調べ2022年5月時点)

②自らも株式や社債を売買する

ディーリング業務です。証券会社も機関投資家として、企業の株式や社債を売買して十分な収益をあげています。

③販売の引き受け

アンダーライティング業務といいます。企業が新たに発行する株式や社債を証券会社がいったん買い取り、その後投資家へ販売する業務です。発行した会社は売れ残りの心配をすることなく、すぐにお金を集めることができます。売れ残った場合は、そのまま証券会社が株式や社債を保有することになり、証券会社が自ら売買する上記のディーリング業務につながります。

④販売の代行

セリング業務です。上記のアンダーライティング業務から販売の代行だけを行う業務です。株式や社債は企業名義のままで、証券会社が売れ残りを心配する必要がありません。企業から受け取る手数料は少なめに設定されています。

まとめ

証券については、まずはじめに株式や債券(今回は社債をとりあげました)の理解が肝となります。政府の方針が「貯蓄から投資へ」舵をきった今、つみたてNISAやiDeCoを必然的に購入していく世代がこれらのことを知らないと、投資が主流となる時代に取り残されてしまいます。

株式は企業への出資であり、業績に応じて配当金がもらえます。値上がりの期待もできますが元本は保証されていません。社債は企業へお金を貸すことになり、元本は保証されています。同時に、毎年利子の支払いが約束されています。

これらの特徴を踏まえて、将来スムーズに金融商品が選べることを願っています。

・ブログを読んだけど、授業で株式や社債にふれるのが不安
・公民の授業との関係性が高まるようを工夫したい
・この〇〇な部分がわからない
そう思われたら、ぜひお気軽にこちらからお問い合わせください。

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