毎月、なんとなく投資信託を買い続けていませんか?投資信託はファンドという運用のプロを通して、株や債券などへ投資する商品です。
株と債券の違いがわかると、個別の銘柄にも興味がわき、運用方法のバリエーションがさらに増えるでしょう。今回は債券の基本についてお伝えします。5分で読める内容となっています。
債券は株と違って、満期まで持っていれば元本割れしない商品で、かつ毎年決まった利率で利子がもらえます。株価が下降していく局面、金利や為替レートの変動に備えて、ぜひ知っておきたい知識です。
・投資信託に組み込まれている「債券」の基本を知る
・国債や社債のパフォーマンスを具体的に確認する
・債券における金利と価格の関係性が理解できる
債券とは
国や自治体、企業が投資家(国内外の金融機関や個人投資家)からお金を借りたときに発行する証書です。以前は券面という紙面でやり取りしていましたが、今は電子化によりペーパーレスでの取引です。
投資家は、一定期間(数ヶ月〜40年程度)お金を貸すことによって、その間は毎年利子がもらえます。期間が満了すると、元金は必ず返してもらえます。
ただし万が一、国や自治体、企業などの発行体が経営破綻すると元本割れしたり、元金が返済されなかったりする可能性もあります。債券に設定される利率は、基本的に貸し出す期間(満期までの期間)が長いほど高くなります。
債券の種類
債券は大きく「公債(国債・地方債など)」と「社債」にわけられます。
国が発行する債券を「国債」地方自治体が発行する債券は「地方債」企業が発行されるものは「社債」と呼ばれています。企業は債券だけでなく、株式の発行や銀行からの借り入れによっても資金を調達しています。
国債とは
政府が発行する債券です。日本においては道路や上下水道などのインフラ整備、公共サービスを提供するために、年間収入の約1/3(40兆円程度)が国債によって調達されています。
毎年新しく売り出される(新発債といいます)日本の国債は、金融機関向け(最低購入金額1億円)と個人投資家へ(同1万円)へ販売されます。金融機関向けの国債は毎月、日本銀行による入札方式で発行されています。下記は、2022年6月に入札が行われた国債です。
個人へ販売される国債は、国内の金融機関で買うことができます。利率や期間が異なる3つの商品がラインナップされています。
さらに大きく分けると、1年経過後は元本が割れることなく中途換金できる「個人向け国債」と、いつでも売却して(元本割れリスクあり)換金できる「新型窓口販売方式」の2つがあります。
社債とは
社債は企業が金融機関や個人の投資家からお金を集めるときに発行されます。個人投資家はお金を貸すことによって、毎年決まった利子がもらえます。株式のように値上がりによる売却益はあまり見込めませんが、確実に利子がもらえること、元金が返済されること、が安定した運用につながります。
たとえば、楽天グループでは投資単位を50万円と1億円にわけて都度、社債の募集をしています。利率や期間は、販売される時期によってさまざまですね。
利付債と割引債
「利付債」とは、これまでお伝えしたように毎年利子がもらえて、期間が満了すると元金が返ってくる商品です。いっぽう「割引債」は、あらかじめ利子相当分が割り引かれており、毎年の利子は支払われません。そのかわり満期を迎えると、額面金額(最低申し込み単位)で受け取れます。額面価格と購入価格の差が、運用益となります。
金利と価格の関係性
債券は満期まで持っていれば、元金が戻ってくる金融商品です。期間の途中で売却し、換金することはできますが、市場の「金利」の影響を受けて価格が変動します。元金は保証されません。
債券を買ったときよりも金利が上がると、売却価格は下がります。これは利率の高い債券のほうが投資家に人気があるという、需要と供給のバランスと同じ関係性です。
この仕組みはとても重要なポイントなので「金利と価格は逆の動きをする」と覚えておきましょう。
実際に債券の購入を検討するとき、これから新たに発行される「新発債」か、期間の途中で売却される「既発債」のいずれかから選ぶことになります。既発債を買うときには、上述したように金利と価格を確認し検討しましょう。
経済大国アメリカの国債
経済大国アメリカの国債についても簡単に紹介します。日本の国債と比べると、利率が高めに設定されています。
アメリカは経済成長が顕著に続いており、市況の変化に応じて政府が積極的に利率を見直しています。日本の10年国債の利率が0.2%だったのに対して、アメリカの10年国債は2.75%もあります。
その影響は、割引債にも反映されています。下記は既発債ですが、約7年で17%程度の運用益が見込める商品もあります。
※為替レート、所得税は加味していません。
まとめ
債券を買うということは、お金を貸して運用するということです。貸している間は毎年利子がもらえて、期間が満了すると貸した元金が返ってきます。
債券の発行体が政府なら国債、企業なら社債となり、それぞれ利付債と割引債、新発債と既発債、国内と海外の、商品が存在します。金利と価格の関係性はとても重要な知識なので覚えておきましょう。