最近、高校生のわが子が企業や経済のニュースをLINEで送ってくるようになりました。以前は遠い世界だった株式市場も、今では親子の会話のテーマの一つです。
きっかけは、お小遣いやアルバイト代の一部を使った株式投資でした。SNSをきっかけに買って含み損になった株もあれば、配当を受け取って喜んだ株もあります。最近は、自分で分散投資を考え、IPOにも挑戦しました。
この記事では、わが家で実際に起きたことを紹介します。銘柄紹介が目的ではありません。実際に何を学んだかをお伝えします。
SNSで見つけた株に飛びつき、今も含み損
最初に子どもが買った株は、SNSで見かけた情報がきっかけでした。話題になっているという理由で興味を持ち、十分に調べないまま購入。株価はその後下がり、現在も含み損を抱えたまま保有しています。
結果だけ見れば、ほろ苦い投資デビューですが、この経験を無駄にはしたくありません。自分のお金だからこそ、購入理由を振り返れるからです。
それ以来、子どもには「流行の商品だから」「人気のお店だから」という理由だけで株を買わないようにしているようです。たとえ商品が売れていても、会社が利益を出しているとは限りません。人気が株価に織り込まれていることもあります。
「この会社は何で利益を出している?」「これからも人々に必要とされる?」。SNSの情報に立ち止まる練習です。なお、持ち続ければ必ず株価が戻るわけではなく、保有の継続も改めて判断が必要です。
株価が下がった後、配当の入金通知が届いた
次に買った国内株でも購入後に株価が下がり、子どもは「お小遣いが減った」とがっかりしていました。
そんなとき、私のスマートフォンに同じ銘柄の配当金の入金通知が届きました。子どもにも配当が入っているかLINEで尋ねると、「どこで確認するの?!」と前のめり気味な返信が。私は証券会社のアプリで入金履歴を見る方法を画面で伝えました。すると、送られてきたのは、数百円の配当が記録された口座画面のスクリーンショットでした。
額だけなら、おやつを買えばなくなるくらい。それでも、株を売らなくても「企業から利益の一部を受け取る」経験は、本人にとって新鮮だったようです。
もちろん配当は保証されません。受取額より株価が大きく下がれば、資産全体はマイナスにもなります。だからこそ、入金を喜ぶだけでなく、株価と配当の両方を見ることを話しました。自分の口座で確かめたことに意味がありました。
海外株を少額で買い、遠かったニュースが身近に
国内株の次に子どもが挑戦したのは、海外企業への投資でした。私自身が先にその企業を買っていたこともあり、事業の特徴や今後の政策との関わりを話しました。
米国株は1株から買えるので、日本株の一般的な100株単位と比べて少ない資金から始めやすい面があります。本人も無理のない範囲で購入しました。
それまで詳しく知らなかった企業でも、保有してみると話が変わります。海外の政策、産業の競争、ドルと円の為替。ニュースが自分の資産につながると実感しました。海外株には為替変動リスクもあります。
「知らない間に買っていた」株で学んだ分散投資
親として一番驚いたのは、その後のことです。
子どもが、私の知らない間に別の米国株を買っていました。あとから購入の報告を受け、理由を尋ねると、これまで保有していないタイプの企業で、事業が比較的安定していること、配当にも魅力を感じたことを挙げたのです。
以前は値上がりに目が向きがちだった本人が、持っている株との「組み合わせ」を考えていた。しかも私の提案ではなく、本人が調べて選んだことがうれしかったです。
その後、AI・半導体関連株が下落する局面がありました。以前から持っていた成長株も下がりました。一方、新たに加えた別分野の株は値上がりし、全体の下落を一部和らげました。
ここで体感したのが「分散投資」です。異なる事業の株を持つと、値動きの違いによって下落を和らげられる場合があります。ただし異業種でも同時に下落することはあり、数社の株だけでは分散が不十分な場合もあります。
もう一つ学んだのは、買うときの価格です。話題の高値に飛びつかず、納得する価格で買ったことが、下落時の落ち着きにつながりました。安く買えば安全という意味ではありませんが、購入理由と価格をセットで考える大切さを実感したようです。
IPOに挑戦。「夢を買う」という言葉に共感
別の機会には、新たに株式市場へ上場する企業に注目しました。私は子どもに、IPO(新規株式公開)という仕組みを、ニュースだけでなく実際の投資を通して知ってほしいと考えていました。
そこで伝えたのが「夢を買う」という言葉です。まだ実現していない技術や事業に可能性を感じ、将来に期待して少額で応援する。子どももその考えに共感し、上場時に公募の抽選でIPO株を購入しました。上場後、価格が形成される過程を知るきっかけにもなりました。
夢がある企業でも、株価が上がる保証はありません。上場直後は値動きが大きくなる場合もあります。「応援したい」という気持ちと「いくらなら損失を受け止められるか」は、分けて考える必要があります。今回は、いつもの安定性や配当を重視する投資とは異なる目的を持つ経験になりました。
株式分割で買いやすくなった、馴染みのない国内大手企業
最近では、国内の大型株も新たに購入しました。本人には馴染みのない会社でしたが、株式分割によって購入に必要な資金が下がり、検討しやすくなったことがきっかけです。
私が伝えたのは、名前を知っているかどうかではなく、社会でどんな役割を担い、長く必要とされる事業なのかという視点。企業の安定性や利益を生み出す力を説明し、最終的には本人が購入を決めました。
分割後とはいえ、本人にとっては保有株の中でも投資額が大きい銘柄です。購入後の値動きは今のところ比較的落ち着いており、選んだことを後悔していない様子です。長期保有しながら配当を受け取る考え方にも関心を持っています。
ただし、株式分割は1株当たりの価格と株数が変わる仕組みで、会社の価値そのものが増えるわけではありません。「買いやすい」と「割安」は別ですし、大手企業でも下落や減配はあります。
成績表よりうれしい、子どもから届くニュース
こうして振り返ると、子どもの投資は一直線の成功物語ではありません。最初に買った株は今も含み損ですし、成長株の含み益が減ることもありました。一方、配当や分散投資の効果を経験し、投資目的の異なる企業を自分で選ぶようになりました。
なにより変わったのは、日常の会話です。本人は企業や経済の記事を見つけると、自分で調べてLINEで送ってきます。ニュースが親子の話題になりました。私にとっては、含み益の金額より、こちらの変化のほうがうれしいです。
保護者の方へ:わが家が意識している5つのこと
この経験を、すべての高校生に個別株投資を勧める話にはしたくありません。興味がなければ、貯金や家計管理、投資の模擬体験からでも十分学べます。わが家で大切にしているのは次の5点です。
- 本人のお金で、無理のない範囲に。 お小遣いやアルバイト代の一部を使い、学費や生活に必要なお金には手をつけない。
- 使うお金と増やしたいお金を分ける。 本人は趣味やレジャーも楽しみ、手元に残す現金を確保しています。
- 流行より、事業を見る。 人気商品や話題の企業かどうかではなく、世界中の人々に必要とされ続けるかを考える。
- 買う理由を自分で説明する。 配当、成長期待、分散、長期保有。目的を言葉にして、下落したときにも見直す。
- 親は情報を伝え、判断を奪わない。 私も会社のことを説明しますが、本人の意思を尊重します。未成年の口座では、親権者の同意や証券会社の規則に沿った管理も欠かせません。
なお、今回のような個別株の取引と、未成年向けNISAのつみたて投資枠は別の仕組みです。2027年からの未成年向けNISAは長期・積立・分散投資に適した対象商品が中心で、個別株を直接買う成長投資枠は利用できません。制度や口座の条件は、始める前に最新情報を確認してください。
まとめ:少額だからこそできる、家庭の金融教育
SNSでの失敗、口座に入った小さな配当、本人が選んだ分散投資、IPOへの挑戦、馴染みのなかった国内大型株への長期投資。どれも、本人が自分のお金で経験した出来事です。
子どもが投資に関心を持ったら、まずは気になる会社の仕事を一緒に調べてみる。納得できたら、損失が出ても困らない少額から体験する方法もあります。
私が育んでほしいのは、値上がりする銘柄を当てる力より、「なぜ?」と調べ、自分で判断する力です。次にどんなニュースが届くのか。それが今の楽しみになっています。
※本記事はわが家の体験に基づく金融教育の紹介です。投資成果を保証したり、特定の銘柄を推奨したりするものではありません。